スイセン
Narcissus tazetta L. var. chinensis Roem.
ヒガンバナ科 単子葉 多年草
原産地 地中海沿岸
分布 本州・四国・九州
高さ 20〜40cm
花の時期 12〜4月
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真冬から春にかけ、6弁の白い花をうなだれ気味に咲かせ、花の中央の黄色いカップ形の副花冠が強いアクセントをつける。花は直径3〜4cm、内外3枚ずつの花被片は基部で互いにくっついて長い筒になり、副花冠の底に6本の雄しべがのぞく。10月ごろ、地中の丸い鱗茎から5、6枚のリボン状でぶ厚い葉がのび、晩春には姿を消す。葉は、すべて左巻きにねじれるのがおもしろい。
ニホンズイセンという別名があるが、日本に自生しているわけではない。栽培されているか、野生化したかのどちらかである。福井県の越前岬や伊豆半島の爪木崎、淡路島の灘海岸などは、とくに野生化したスイセンの群生地として知られており、ほかにもスイセンの名所はたくさんある。ただし、晩春から初秋までは、地上にまったく姿を見せないので、鑑賞は寒い冬になる。
スイセンといえば、牧童ナルシスが水面に映る自分の美しさに見とれて動かず、とうとうスイセンになったというギリシャ神話を思い出す。学名はこの少年にあやかって「ナルキッスス」とつけられた。花ことばは自己愛(ナルシシズム)である。冬の海岸では、ときどき雪のなかから花をもたげて咲いたりするので、雪中花の別名もある。雪中花は、水仙、水仙花とともに冬の季語として使われる。
花の少ない冬には、生け花の材料として欠かせない。室町時代にはすでに生け花用に使われていたという。花が図案化されて、「抱き水仙」や「水仙の丸」などの家紋も生まれた。スイセンは1本の花茎に5〜8個の花が房咲きに咲くフサザキスイセンのなかま。花被も副花冠も黄色のキブサズイセン、どちらも白いペーパーホワイトなどがある。
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