ヤドリギ
Viscum album L. subsp. corolatum Kom.
ヤドリギ科 離弁花 常緑小低木
分布 北海道〜九州
高さ 80cm
花の時期 2〜3月

ほかの種類の大木に寄生して、木から木へと飛び移り、絶対に地面に下りない変わり者。トビヅタともいう。和名は「宿り木」。枝は緑色の円柱で、二またや三つまたに分かれる。葉は厚くて、細長く、先は丸くて、長さ2〜8cm、幅0.5〜1cm。雄と雌の木がある。花は2〜3月に咲くが、小さくて目立たない。果実は球形で直径8mm、早春に薄黄色に熟す。果肉はもちのように粘りがあり、甘い。小鳥が食べ残しの種子の入った果肉を木の枝にこすりつけると、そこで種子が発芽する。

ケヤキやサクラなど落葉樹に寄生するから、冬にこれらの樹木の高い枝を探すと、こんもりした小さな枝のかたまりが見つかる。とくにケヤキによく寄生するので、人家の近くのケヤキの大木に注意。めずらしいものではないので、見つけるのはかんたんである。

枝や葉は、乾燥させて煎じて飲むと、血圧を下げ、利尿作用があるので薬用にされる。また、デンプンを多く含むので、家畜のえさにされる。昔、食料が不足したときは食用とされた。果実や枝葉には、粘りのある汁があり、トリモチがつくられる。これを細いサオの先にぬって、小鳥を捕まえるのだ。 学名のViscumはヤドリギを表す古いラテン語。albumは「白い」の意味で、ヨーロッパ産のオウシュウヤドリギの果実は白色。coloratumは「色のついた」の意味でヤドリギの果実が薄黄色であることをさす。赤い果実のものをアカミノヤドリギという。ヤドリギ科には1,300種もあり、日本にはヤドリギとは属がちがうが、葉の大きいオオバヤドリギ、葉がヒノキに似たヒノキバヤドリギなどがある。いずれも寄生植物である。