マンリョウ
Ardisia crenata Sims
ヤブコウジ科 合弁花 常緑小低木
分布 本州〜沖縄
高さ 1m
花の時期 7月

冬も青々とした葉をつける。幹は真っすぐに立つが、太さはエンピツほどで、枝といったほうがよい。葉は、だ円形で長さ4〜13cm、幅2〜4cm、ふちが波のように曲がる。小さな白い花は直径8mmぐらいで深く5つに切れこむ。雄しべは5本、雌しべは1本。果実は丸く、冬に赤く熟す。

本州の関東地方から西に分布し、暖かい地方の森のなかに生える。冬、果実をつけているときには見つかる。この植物が生えるのは、よく茂った古い森が多いので、神社や寺の裏山などで、大きな樹木が茂っているような森に出かけるとよい。また、育てたいならば、園芸店で鉢植えを買い求めよう。

中国では、根と茎や葉を、せき止め、解熱などの薬とする。園芸植物として植えられ、めでたい植物とされる。和名は万両と書く。「千両、万両、在通し」と、この3つの植物がそろうとたいへんめでたいという。センリョウはセンリョウ科のまったく別な植物で、アリドウシはアカネ科の、これまた、まったく別な植物だ。万両という名前は1807年(江戸時代)に現れたという。それから、園芸植物として大いにもてはやされた。緑の少ない冬に緑の葉と赤い実をつける姿は人の目をひく。この美しさに目をつけた人が、この名前を思いついたのであろう。中国で百両金の名前をもつカラタチバナは、葉が大きく細長い。マンリョウとともに、江戸時代に大いにもてはやされ、100種類もの園芸品種がつくられた。モクタチバナは少し大きな樹木で高さが5mをこえ、果実が黒く、園芸植物向きではない。ヤブコウジは、高さがわずかに10〜30cmという小さな木で、森のなかでふつうに見られる。