オモダカ
Sagittaria trifolia L.
オモダカ科 単子葉 多年草
分布 日本全国
高さ 20〜50cm
花の時期 7〜10月

水面にぬきん出た細い矢尻形の葉と白い3弁の花が何よりの特徴。英語でもオモダカのなかまはアロー・ヘッド(矢尻)という。葉はすべて根生。花は雌花と雄花に分かれ、花茎の上部に数輪、3個ずつ輪生する。下の1、2輪の花は雌である。夏から秋にかけて根ぎわから白い根に混じって、長短さまざまのつるのような地下茎をのばし、先は小さないもになる。

低地から標高1,000mぐらいまでの湖沼・ため池・水路のふちや水田に雑草のように生える。生育地は泥地で水深は浅い。水面から出た大きな矢尻形の葉を手がかりに探せば、必ず見つかる。

オモダカは面高と書き、いばって顔を上げた人の態度を面高といった古人の表現になぞらえ、ななめ上向きの葉をつけた草姿をたとえた。俳句の季語など文芸の世界では「沢瀉」と書くが、これは中国名ではサジオモダカをさす。オモダカの中国名は慈姑である。人家近くに生えて親しみやすく、すでに平安時代のなかごろから衣服の紋様として用いられた。桃山時代からは、京都にある石清水八幡宮の木彫の欄間をはじめ、彫刻、絵画の題材としても注目されるようになった。

園芸的には八重咲きのヤエオモダカや、葉の左右にはり出す裂片がないヒトツバオモダカがある。ちなみにクワイはオモダカを改良した栽培品で、地下茎の先にできるいもを縁起物として食べる。オモダカのいもは小さい上に苦くて食べられない。よく似たアギナシは、オモダカよりは山地に多く、葉の形で区別するのはむりだが、葉の下側の左右の裂片の先が少し丸味を帯び、つるのような地下茎はなく、葉のわきに多くのむかごがつくので分かる。