エノコログサ
Setaria viridis (L.) P.Beauv.
イネ科 単子葉 一年草
原産地 ユーラシア大陸
分布 北海道〜沖縄
高さ 20〜70cm
花の時期 7〜10月

細長い茎の先に少しばかり垂れ気味につく子犬のシッポのような円柱形の花穂がいかにも独特で、エノコログサの名にふさわしい。この穂は、米粒くらいの大きさの小穂(イネ科の花序の最小の単位)が2、3個ずつセットになって、このセットがたくさん集まったもので、小穂の根もとのごく短い柄には長さ1cmほどの固い毛が3、4本ずつ束になって生えている。子犬のシッポの毛というのは、この固い毛のこと。穂全体は緑色か紫色で、英語ではこのなかまを「緑のキツネの尾(グリーンフォックステイル)」という。

日本全国の畑地や荒地ではどこにでもある雑草で、真夏のころから秋まで穂を出し続けているので、土のあるところなら必ず見つかる。一緒にキンエノコロやコツブキンエノコロ、アキノエノコログサがよく生えている。

ネコがよくじゃれるというので、「ネコジャラシ」の名もよく通用し、人々の生活との関係の深さを物語る。ユーラシア大陸の原産で農耕の伝来とともに入ってきた帰化植物と考えられている。アワとの間に雑種ができ、種子もよくできるのでアワの祖先とみなされる。今ではアワのほうは畑からほとんど姿を消してしまったが、祖先のエノコログサは衰えることがない。

エノコログサのなかまは、穂の形のおもしろさを生かして生け花によく使われる。とくにキンエノコロは切り花用に育てる。こうなるともはや雑草ではなく栽培植物だ。アキノエノコログサは小穂がひとまわり大きく、長さ3cmほど、背中がむき出しになったように見える。キンエノコロやコツブキンエノコロは穂が黄金色か汚れた褐色で小穂の下の毛は8〜20本もある。