ニワゼキショウSisyrinchium atlanticum E.P.Bicknell
アヤメ科 単子葉 多年草
原産地 北アメリカ
分布 本州宮城・福島以南〜沖縄
高さ 10〜20cm
花の時期 4〜6月

和名は庭に生えるセキショウを意味し、幅2〜3cmのセキショウ(ショウブ科)のような細い剣状の葉が茎の両側に並んでつく。茎は平たくてふちが細い翼になるのも特徴。花は朝開いて夕方しぼむ1日花で、茎の先のへら形の苞という2枚の葉の間から1日1本ずつ柄をのばし、2〜5個の花を次々と咲かせる。花の大きさは直径1.5cmほど、6枚の花被片は白または淡紫色で同形同大、基部では互いにくっついて短い筒になる。花被の中心は黄色、そのまわりを濃い紫色の斑紋が囲み、脈の色はとくに濃い。

初夏のころ、日当たりがよく水はけもよいグラウンドのすみや庭や芝生に雑草のようにかたまって咲いている。山のなかで見かけることは、まずない。茎の先に淡紫色6弁の花が1個上向きに咲き、その下にしおれた花や球形の小さな果実がいくつか垂れ下がっているのを確かめればよい。

 「濃き日ざし庭石菖を咲き殖す」(上村占魚)

ニワゼキショウは夏の季語に用い
られる。

1887(明治20)年ごろに渡来し、はじめ東京小石川の東京大学付属植物園で栽培されていたが、しだいに各地で栽培されるようになり、やがて野生化したと伝えられる。事情は中国でも同じで、各地で野生している。原産地はアメリカ合衆国のミシガン・ミシシッピー以西の大西洋側、学名にも大西洋のatlanticumとある。

花だんやロックガーデンに適し、乾燥させないように注意して育てることが肝心。種子や株分けでふやすことができる。ヒレニワゼキショウも北アメリカ東部から入った植物。茎の翼は一層広く、花の柄にも翼がある。茎も葉もかわかすと黒くなる。