ミョウガ
Zingiber mioga (Thunb. ex Murray) Roscoe
ショウガ科 単子葉 多年草
原産地 中国
分布 本州〜九州
高さ 10〜100cm
花の時期 8〜10月

地面から偽茎がのびて、長さ20〜30cmの魚のサバのような形の葉が何枚もつく。偽茎は葉鞘という葉の根もとの部分が重なって茎のようになったものである。地面から、長さ5〜7cmくらいの長だ円形の花の集まりである花序を出し、薄黄色の花をつける。花は、ラッパのような形で、先が3つに分かれている。中央に雄しべが変化した大きな唇弁がある。若い偽茎は、ミョウガタケと呼ばれる。花序が、店で売られている「ミョウガ」である。食用にする部分は、花序と、それを包む苞だ。

里山の少し湿った木陰や神社の裏山などに生える。あまり山奥にはない。また、庭のすみにもよく植えられる。南ほど多いようである。細長い葉が目印。集まって生えるので、たやすく見つけられる。

中国の揚子江の流域にも分布する。日本のミョウガは、中国から古い時代に伝えられたものと考えられている。畑や庭で栽培される。偽茎も花序も、香りがよく、汁の実、サラダ、なます、漬けものなどに利用される。室町時代には、きざんだミョウガとご飯を桶にいれて重しをかける「すし」がつくられた。

食べるともの忘れをする、という昔話がある。欲ばりな宿屋の夫婦がいて、客が荷物を忘れて行くように、ミョウガを食べさせたところ、客は金をはらうのを忘れたとか。腹ペコの子供が料理人の目をかすめてミョウガを食ったので、「物忘れのひどい子になるから食ってはいかん」と説教したところ、子は「腹ペコを忘れるのだ」と答えたとか。インド原産といわれるショウガがある。属はちがうが、日本の暖かい地方に生えるハナミョウガやアオノクマタケランは、ミョウガと似た姿をしている。