ネジバナ
Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H. Hara
ラン科 単子葉 多年草
分布 北海道〜九州
高さ 10〜40cm
花の時期 4〜10月
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地生のラン。花はふつう紅紫色、横向きで半分開き、直径数mm、多いものでは50個あまりが細い花穂に下から上へとらせん状に咲き上がる。この花穂の形は、まことにネジバナの名にふさわしい。らせんの回転数は4、5回。ヒダリマキという別名にもかかわらず、左巻きも右巻きもある。花の時期は長いが、初夏に花の盛りがあるグループと秋に盛りをもつものの2つがあることが最近わかった。
芝生や土手など日当たりのよい丈の低い草地によく生えている。山には生えない。初夏または初秋のころ、人家近くを歩いて、ねじれた紅紫色または白色の花をつけた草花を見つければ、まちがいなくネジバナ。ランのなかまはなかなか見かけないが、ネジバナは例外。人里の草地、湿地、崖など、日当たりがよく水はけのよいところによく生えており、人里植物といえよう。
モジズリの名は、平安時代『古今集』に
「陸奥のしのぶもぢずり誰ゆえに乱れむと思ふ我ならなくに」
とよまれた信夫もじ摺(しのぶもじずり)にちなんだものである。これは信夫摺(しのぶずり)とも呼ばれ、福島県信夫の名産。石に草木をこすりつけ、布にその色をうつし、ねじれたもようをつけた染めものをいう。
庭植えや鉢植えにして、花穂の形や色ばえを楽しめるし、生け花の材料にも使われる。栽培はかんたんで水はけのよい用土を用い、日当たりのよい場所に植えこむ。春の芽出しのころ、株分けしてふやす。ネジバナは花穂や子房に柔らかい毛が密生しているのに対し、奄美大島以南の沖縄では毛のないナンゴクネジバナがある。また、ミヤマモジズリは花はひとまわり大きく、奥深い山林に生える。
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