ヤマシャクヤク
Paeonia japonica (Makino) Miyabe et Takeda
ボタン科 離弁花 多年草
分布 本州・四国・九州
高さ 30〜50cm
花の時期 4月下旬〜6月
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茎は直立し、3、4枚の大きな葉が互生し、先に大きな花が1個咲く。緑色の3個のがく片と白色の5〜7枚の花びらがあり、中心にたくさんの雄しべに囲まれた3、4本の雌しべがある。がく片も花びらも水平に開かず、花びらは互いに重なり合っている。一見、キウイの花を思わすが、こちらは雌しべは1本。果実のころに雌しべは外側に強くそり返り、腹側で割れると、熟した黒い種子と未熟の赤い種子が並んでできる。
ブナ林やニレの林、雑木林などの落葉樹林のなかに生えているが、数は少ない。三三五五にかたまって生えていても群生することはないので、山道を歩きながら両側の樹林のなかを注意して見ることだ。複葉の葉を少しぬきん出て大きな花が1個咲いているのですぐ分かる。果実のころは赤と黒の種子を目標にすればよい。
ボタンやシャクヤクのなかまで草なので、ボタングサともクサボタンともいう。美人の形容に「立てばシャクヤク座ればボタン」という言葉があるが、ヤマシャクヤクはその清らかな美しさゆえに出会えば必ず目を止め、ふり返させられる。美人薄命のたとえの通り、花は2、3日で散り、長くもたない。
中国渡来のシャクヤクやボタンのあでやかさにおされてか、園芸植物として使われたことがない。ただ、最近の山野草ブームのために掘りとられるので、山では減りつつある。
太い根を乾燥したものは漢方で芍薬といい、1日1.5〜3gほどを煎じて痛み止めなどに用いる。ヤマシャクヤクは葉の裏に毛がないが、花が淡紅色で葉の裏に柔らかい毛のあるベニバナヤマシャクヤクがある。北海道〜九州に分布していて、同様に数は少ない。
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