シュンラン
Cymbidium goeringii (Rchb. f.) Rchb. f.
ラン科 単子葉 多年草
分布 日本全国
高さ 10〜25cm
花の時期 3〜4月

地下には太い根が何本ものびている。この根は菌根と呼ばれ、なかに菌糸という細い糸のようなものがあり、これと栄養のやりとりをして生きる。ラン科の植物はほとんどが菌根をつくる。葉は濃い緑色で固く、ふちに小さな鋸歯がある。花は薄緑色で、真んなかにある唇弁は白く、紫色の斑点がたくさんある。それで、別名ホクロという。またの名をジジババとかオジーオバーという。花を横から見ると、真んなかから雄しべと雌しべがひとつになったずい柱がつき出ている。ずい柱のすぐ下に唇弁がある。ずい柱はじいさん、唇弁はばあさんで、2人が抱き合っているという。じいさんの頭はハゲで、背中が曲がっている。

雑木林の少しかわいた尾根や斜面に生える。ときどき春の光がさすような所がよい。最近は、とりすぎたり、雑木林が光のささないスギやヒノキの人工林に変えられたりで、少なくなった。花がなくとも、葉の特徴ですぐに見つかる。

花や葉に変化が多く、また花の香りのよいものがある。そのため、鉢に植える人が多い。変わった花は、高い値段で売れる。こうして山のシュンランが掘りとられる。よいことではない。

花を塩漬けにして、ラン茶として結婚式などの祝いのときに飲む。花を熱湯に入れてさまし、梅酢で漬けてから陰干しにし、それを塩漬けにする手のこんだつくり方をする。ラン茶は、不老長寿の薬といわれる。花や花茎は熱湯に入れてから、三杯酢で食べたり、すいものにする。花を料理の飾りとしても使う。根の粉をご飯で練ってあかぎれの薬とする。

カンランはシュンランよりも大型のラン、ナギランは小型のランでめずらしい。