キンラン
Cephalanthera falcatea (Thunb.) Blume
ラン科 単子葉 多年草
分布 本州・四国・九州
高さ 30〜70cm
花の時期 5〜6月
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ランには木や石の上に生える着生ランと、地上に生える地生ランがあるが、キンランは地生。葉は5〜8枚で縦の脈がよく目立つ。3〜12個の花が、茎の上部の5mm未満の苞という葉のわきに1個ずつつき、下から上へと咲く。花は黄金色、晴れた日に半開きに咲き、唇弁は3つに裂け、その中央内側に5〜7本の黄褐色のひだがある。葉に白いすじがあればスジキンラン、花が白っぽいのはシロバナキンランである。
里山のマツ林や雑木林、あるいはそのふちに散生する。特別な環境に生えているわけではないが、数はとても少ない。スミレやカタクリの花が終わってまもないころに山に出かけてみると偶然出会えるかも。かわいた林で黄金色のランの花を見かけたらまちがいない。
何といっても黄金色の花が特徴なので、日本でも中国でも金蘭という名がついた。最近は全国各地で減少する傾向にあり、環境庁の『植物版レッドデータリスト』(1997年)では絶滅危惧?類にランクされるまでになった。その原因はひとつには山林からの人離れで林の手入れが行きとどかず、林のなかの下生えがしげりすぎて日当たりが悪くなるなど生育地の環境が変わって来たこと、2つには栽培のために掘りとられることが多くなったことにあると見られる。
庭植えや鉢植えにして楽しめるが、一般には栽培はむずかしい。山野草の栽培は、種子をまいてじっくり育て上げるように心がけ、山での掘りおこしはつつしむべきである。ギンランやササバギンランがある。ともに花は白色で、一番下の苞の長さはギンランでは子房より少し長く、ササバギンランでは子房の5〜10倍も長い。
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