ネコヤナギ
Salix gracilistyla Miq.
ヤナギ科 離弁花 落葉低木
分布 北海道〜九州
高さ 0.5〜3m
花の時期 3月下旬〜4月
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葉より早く純白の毛におおわれた花穂を立て、花穂には苞と呼ばれるうろこのような葉がらせん状に密生、そのわきに1個ずつ花が咲く。花穂の白い毛は、この苞の両面に上向きに生えたもの。花といっても花びらもがく片もない裸の花が1個ずつあるだけで、そのもっとも内側に1個の細長い、蜜を出す器官がある。雌雄異株で、雄花の花穂は長さ3〜5cm。雌花の花穂は雄より少し短い。葉は細長く、少しぶ厚く、14〜18対の側脈が裏面につき出し、強く弓なりに曲がって上に向かう。
都会や田園地帯を流れる大小の川のふちにたいてい群生している。花の時期なら雄花や雌花の特徴、葉の時期なら両面に毛があることや脈の走り方を見る。ヤナギの種類を見分けるのはむずかしい。
冬枯れのたたずまいの残る川ばたに群がる花穂を、ネコの尾に見立ててこの名がついた。イヌの尾と見てつけられたエノコロヤナギ(狗尾柳)という名もある。
ネコヤナギやそのほかのヤナギの穂つきの枝は、冬から春にかけて生け花の材料として喜ばれる。生け花でヤナギを使う場合には、枝のしなやかさを生かすためにけっして枝先を切らず、葉つきの枝も使わない。ネコヤナギの突然変異と見られるクロヤナギは雄株しかないが、若い枝は濃い赤、苞は全体が黒色でふちに長い毛が散生するほかは両面に毛はない。だから苞が落ちるまで花穂全体が黒色に見え、枝の赤と苞の黒の対照が美しい。生け花ではクロメヤナギと呼んで使う。ネコヤナギは、しばしばカワヤナギと呼ばれて混同される。カワヤナギの葉は両面とも毛はなく、雌花の花柱はずっと短く、雄花では花糸の下部に毛がある点でことなる。
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