ハコベ
Stellaria media (L.) Villars
ナデシコ科 離弁花 一年草または越年草
原産地 中国
分布 日本全国
高さ 10〜20cm
花の時期 3〜9月

茎は日当たりのよいところでは赤味を帯び、葉は対生し、下のほうの葉にだけ柄がある。花は枝先に1個ずつ咲く。若い枝先では花が群がって咲いているように見えるが、それは枝がのび切っていないためである。枝がのびると倒れて地表をはい、節と節の間は数cm、茎全体の長さは数十cmにもなる。花びらが5枚で深く2つに裂け、雄しべは1〜6本、雌しべは1本で柱頭が3本、花が終われば柄は下に垂れ、果実のころには再び上を向くのも重要な特徴だ。

畑や田のあぜ、道ばた、木陰、やぶ陰など、人家近くの少し湿ったところなら必ず見つかる。

島崎藤村の「千曲川旅情の歌」で「小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ緑なす繁縷は萌えず、若草もしくによしなし…」と歌われたのは有名。繁縷は中国名である。ごくふつうに見られる雑草で、古い帰化植物の代表格だ。春の七草のひとつ。正月のころにはまだハコベは芽ぶいていないので、七草粥には冬ごししたものを探す。所によっては残雪の下から掘り出すことも必要だ。

ハコベがいたるところに生えるのは、最盛期は春だといっても秋まで花が咲き続き、同花受粉によって手っとり早く実を結んでいくからだろう。しかも、オオイヌノフグリやヒメオドリコソウなどヨーロッパうまれの古い帰化植物同様、夏から秋に芽生えた個体は葉を枯らさずに冬をこす。年中生え、年中開花し、年中実をつけるという繁殖法から見れば理想的な雑草なのである。

ミドリハコベは山地の日陰に生えて、茎は赤味を帯びず、ルーペで見ると種子全体にとがった突起が生えている。ハコベの種子の突起は低くて半円形である。