ニリンソウ
Anemone flaccida F.Schmidt
キンポウゲ科 離弁花 多年草
分布 北海道〜九州
高さ 15〜30cm
花の時期 4〜6月

イチリンソウと並ぶ代表的な早春の植物。ひとつの茎に2輪の花をつけるものが多いが、必ずしも2輪というわけではなく、1〜4輪の変化がある。花は、夜に閉じ朝に開くのをくり返し、2週間ほど咲き続ける。葉は3枚が輪生し、柄がない。また、実が落ちるころには、種子のなかには胚はまだできていないこと、芽生えの双葉が1枚しかないことなど、変わった性質がある。

低山から亜高山の樹林下に広く生える。春先に沢ぞいの湿った林を歩き、1〜4本ずつふぞろいの長い柄をのばした、直径2cmほどの5弁の白い花を探す。5弁といっても、これはがく片で花びらがないことも目印。群生すれば林の下が白い花で一面におおわれて美しい。初夏には茎や葉は黄色くなって枯れ、やがてすっかり姿を消してしまうので、見つけられるのは春だけだ。

若い根生葉やつぼみのついた若い茎は柔らかく、雪国では山菜として食べる。軽くゆでて、ひたしものや煮びたし、ゴマあえ、酢のものとすれば素朴で淡白な味が楽しめる。山形県のセキナ、長野県北部のコモチナという方言名は山菜として食べたことから来たものだ。ただ、つぼみをつけた茎はまちがえることはないが、根生葉が有毒植物のトリカブト類に似ているので注意。自信がないときは、株のひとつ2つをおこして、節のこみ合った横にのびる地下茎があるかどうかを確かめるのがよい。トリカブト類なら垂直にのびる節のないいもがついている。イチリンソウやサンリンソウがよく似ているが、どちらも茎につく葉にはっきりした柄がある。広くはアズマイチゲやキクザキイチゲも含めてアネモネ類はすべてニリンソウのなかまである。