ヤマザクラ
Prunus jamasakura Sieb. ex Koidz.
バラ科 離弁花 落葉高木
分布 本州・四国・九州
高さ 25m
花の時期 3〜4月

山に生え、桜の花の開花日の標準にされるソメイヨシノ(園芸品種)とちがって、花と葉が同時に開く。色は白や薄紅色で変化が多い。花のときの若葉は、茶、黄緑、緑色などになる。葉は開くと長さ5〜9cm、幅3〜4cmで裏が白く、毛がない。秋に赤く紅葉。幹は高さ7mほどになる。樹皮はチョコレート色で、横に薄茶色のすじがたくさんある。サクランボ(果実)は初夏に熟し、食べると苦い。

町や村に近い雑木林やアカマツ林によく見られる。公園のソメイヨシノの花が咲くころ、これらの林では花をつけたものが点々と見える。花と葉が開いていて、花や葉に毛がなければ、ヤマザクラ。

花は昔から人々に親しまれてきた。奈良の吉野山、京都の嵐山などは、ヤマザクラの名所。太閤秀吉の花見で有名な醍醐寺(京都市)の桜もヤマザクラ。花見といえば、今では、ソメイヨシノが多いが、昔はヤマザクラの花が楽しまれた。ソメイヨシノは明治のはじめに現れた園芸品種で、花が華やかなので、全国に広まった。

材は、少し固くて、彫刻した場合には、その保存がよいので、家具や飾りものの材料となる。江戸時代には版画の版木としてもてはやされた。樹皮は家具などにはられるほか、せき止めの薬となる。サクランボを焼酎につけると果実酒ができる。また、サクラのなかまの葉や材にクマリンというよい香りの物質があり、くん製をつくる時のチップに使う。伊豆にあるオオシマザクラは、葉を塩漬けにして桜餅を包む。エドヒガン、フジザクラ、ミヤマザクラなどは、野生の桜であるが、園芸品種も多い。ソメイヨシノ、フダンザクラ、カンザンなどはその例。