レンゲソウ
Astragalus sinicus L.
マメ科 離弁花 越年草
原産地 中国
分布 本州〜九州
高さ10〜30cm
花の時期  4〜6月

茎は根ぎわからよく枝分かれして先は立ち上がり、葉のわきから長い柄を出して丸く集まった紅紫色の花を咲かせる。ひとつの花は長さ1cmあまりの小さなものだが、花の集まりはハスの花を思わせるというので蓮華草の名がついた。花が終わると先が細くのびた黒くて角ばったまめのさやができる。なかに黄色っぽくて平たい数個の種子がある。

ピンク色の花を目印に、春先田園地帯を歩くと、この花にうめつくされた田んぼを見つけることができる。毎年イネの収穫後に種子をまいて育てるが、抜け出して道ばたや土手に顔を出すこともめずらしくない。まいた種子のいくらかはすぐ芽を出さず、1、2年眠っているので思わぬところに生えたりする。古く田んぼの緑肥(緑の植物のまま使う肥料)や牧草として中国から移入された。根に小さな粒々ができ、そのなかにバクテリアがいて空中のチッソをとりこんで栄養とするので、ほかに肥料をやらなくてもよいというわけだ。現在では化学肥料が普及してレンゲ畑もめっきり少なくなったが、有機農法が見直されて、レンゲ祭りなどのイベントも方々で行われるようになった。

  
「手に取るなやはり野におけ蓮華草」

は、よく知られた飄水(江戸時代の俳人)の田

園風景をめでた句。 若芽やつぼみのついた茎や葉は、天ぷらやゆでてあえものにして食べられるし、養蜂の蜜のもととしても重要。植物全体を、かわかして煎じて下痢止めや下熱に用いる。

植物学上はモメンヅルのなかまだが、これは薄黄色の花を長い花序につけるので一見して分かる。同じように丸い花序をつけるアカツメクサやシロツメクサは、花はずっと小さいし、葉は三つ葉である。