キュウリグサ
Trigonotis peduncularis (Trevir.) Benth.
ムラサキ科 合弁花 越年草
分布 日本全国
高さ 10〜30cm
花の時期 3〜5月
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若い茎や葉をもんでかぐとキュウリのにおいがするのが何よりの特徴。茎にも葉にもがくにも、固い上向きに寝た毛が密生。花序ははじめ渦巻きのように巻いて、つぼみが上下1列にびっしり並んでいるが、やがて渦巻きを解きながら花序ものびて、花は下から上へと咲き進む。ひとつの花に四面体の固い小さな果実が4個ずつできる。
春に畑や土手、明るい山道を歩くとたいてい見つかる。るり色の小さな花が渦巻きになった花序についていて、もんでキュウリのにおいがすればまちがいない。
田畑の雑草であり、道ばたに生えるので、ホトケノザのように農耕の伝来とともにアジア大陸から渡来した古い帰化植物と見られる。ところで野菜のキュウリは日本には1,000年ほど前に入っていたが、苦みが強くてきらわれ、なかなか普及せず、よく食べられるようになったのは品種改良が進んだ明治時代になってからとのことである。だから、キュウリグサという名は、そのあとにうまれた新しい名だと考えられる。タビラコという別名もあるが、これはもともと春の七草のコオニタビラコをさし、江戸時代にまちがえてキュウリグサにつけられたものらしい。キュウリグサは山菜として食べられることもないし、タビラコ(田平子)のように田一面に生えることもない。キュウリが普及する以前の日本では何と呼ばれていたのだろうか。やはり畑地や道ばたによく生えるハナイバナに似ている。しかし、こちらは果実はだ円形で細かい突起があるし、キュウリのにおいはせず、葉が茎の上のほうまであって、花は葉の間に咲く。つまり葉内花である。ただし、キュウリグサも下のほうの花は葉内花である。
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