オオイヌノフグリ
Veronica persica Poir.
ゴマノハグサ科 合弁花 越年草
原産地 西アジア
分布 日本全国
高さ 20cm
花の時期 12〜4月

まだ風の冷たい早春の日だまりに、小さなコバルト色の花をたくさん咲かせる。花は直径8mmくらい、花びらが4枚で、下のほうが短い筒のようになっている。オオイヌノフグリが日本に帰化したばかりの明治20 (1887)らしい植物であったというが、今では、全国いたる所の道ばたにふつうである。ほかの植物がまだよくのびていないころに花を咲かせるので、見つけるのはやさしい。

中国では、腎臓病の薬草として使う。犬の「ふぐり」に似た果実をつける。「ふぐり」は、こう丸のことで、この名前は、植物学者の牧野富太郎博士によっている。

よく似た日本産の植物に、博士は「イヌのふぐり」という意味のラテン語の学名をつけた。もちろん和名はイヌノフグリである。今では、ほとんど見られない植物で、ふつうはみなオオイヌノフグリである。俳句の世界では、イヌフグリといえば、オオイヌノフグリをさし、春の季語である。フランスでは「ペルシャの聖人」、イギリスでは「小鳥の瞳」、中国では「地錦」と、外国の名前は日本とはちがっている。学名のVeronicaは、十字架を背負って歩くキリストの汗をぬぐってやった聖女ウエロニカの名にちなむ。persicaはペルシャの意味。同じ帰化植物にタチイヌノフグリとフラサバソウがある。オオイヌノフグリは花が大きく、花の柄が葉より長い、タチイヌノフグリは花がとても小さくブルーで、花の柄が短い。フラサバソウは、花の柄が葉と同じくらいである。西日本に多いが、最近東日本でもふえている。山奥に生えるクガイソウは、根がリュウマチに効く薬草である。