ヤエムグラ
Galium spurium L. var. echinospermon (Wallr.) Hayek.
アカネ科 合弁花 一年草または越年草
分布 日本全国
高さ 20〜30cm
花の時期 4〜5月

芽生えのときからよく枝分かれし、花のときには立ち上がり、花が終わると倒れてからみ合い、やぶをつくる。茎や葉のふちに逆向きの小さなトゲが並んでいるのが何よりの特徴。葉は6〜8枚ずつ輪生しているが、本当の葉は十字に対生する2枚だけで残りは托葉である。芽生えの葉は4枚、大小ふぞろいの小さな2枚が托葉だ。実は球形で2個ずつ並び、全面にトゲがある。

人里のやぶ陰には必ず生えている。秋には芽生え、冬には越冬中の小さな草むら、春には4弁の小さな花、初夏にはトゲだらけの茎や実を見ることができる。

ヤエムグラの八重は折り重なって茂るようす。葎はからみ合ってのびる草をいう。これは、枝葉のトゲでからみ合った、果実のころの姿を表した名だ。子供たちが輪生する葉で1節ごとに切り離して胸につけて勲章遊びをしたことからクンショウグサの名もある。しかし、謡曲「紅葉狩」の「たれ白雲の八重葎茂れる宿の淋しきに」のヤエムグラは、アサ科のカナムグラをさす。紅葉のころはヤエムグラは芽生えたばかりで茂っていない。

ヤエムグラは10〜11月に芽生えて冬を越し、春に花が咲いて初夏にはコロコロ実を落としてすっかり枯れていく。しかし、冬の間に刈られたり焼かれたりする草むらでは、芽生えは年明けの2、3月になる。それでも花の時期も実の時期も冬ごししたなかまに遅れずに、やはり夏には枯れて姿を消す。人と上手に共生するために、秋と春に発芽する2種類の種子をつくり上げたのだ。カワラマツバは日当たりのよい草地や土手に生え、多年草で葉はずっと細く、1節に8〜11枚がついて、茎にも葉にもトゲがない。