ヨシ
Phragmites australis (Cav.)Trin. ex Steud.
イネ科 単子葉 多年草
分布 北海道〜沖縄
高さ 3m
花の時期 8〜10月
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水辺に大きな群落をつくる。地下に長い根のような茎(地下茎)をはり、立つ茎をたくさん出す。茎は円柱で、いくつも竹のような節があり、そこに先のとがった長さ20〜50cm、幅2〜4cmの葉がつく。葉は、少し固いササのようである。茎の先に長さ40cmにもなる花の集まり(円すい花序)ができる。
川の岸辺の湿地や沼地にふつうに生える。全世界の湿地に分布。砂漠の干上がった川のあとでさえ生える。川や池の近くで、草丈の高いタケに似た草が群生していればヨシのことが多い。
昔はアシといったが、アシは「悪し」につながるというので、その反対の意味のヨシになったという。長い茎は、編んでヨシズや日よけのスダレをつくる。ヨシズは北国で、吹雪から家や庭の樹木を守る。昔は、くず屋根の材料だった。夏はすずしく、冬は暖かい家をつくるが、今はほとんどない。茎から紙がつくられる。若芽は食用になり、アイヌ族のほか、中国でも利用された。葉は日本ではチマキに、地下茎は中国では、胃を丈夫にしたり、利尿のために薬として使われる。工事や開発のため、大きな川のヨシ群落は急速に失われたが、ヨシ群落が川の水をきれいにする働きがあり、水鳥や魚などの生息地として大切であることが分かって、各地で復元されるようになった。日本は古く「豊葦原の瑞穂の国」といわれた。水辺でヨシが豊かに茂り、イネの穂が垂れた日本の豊かさと美しい風景をいう。ツルヨシは、地面に長いつる(走出枝)を出す。セイタカヨシは、ヨシより大きく高さ4mになり、真冬の2月ごろまで、葉が枯れない。ヨシより、南に分布する。両方とも、ヨシと同じに利用される。
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