ミズヒキ
Antenoron filiforma (Thunb. ex Murray) Rpberty et Vautier
タデ科 離弁花 多年草
分布 北海道〜沖縄
高さ 50〜80cm
花の時期 7月下旬〜10月
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枝先に、細い花序をつんつんと立て、小さな花をつける。花は、4つに裂けたがくが主体で花びらはなく、背中が濃い赤、腹側が白っぽいことから、紅白の水引にたとえてこの名がつけられた。
花はまず花序の主軸を下から上へと咲き上がり、下の枝ほど遅く咲く。花の先から左右にかぎ形に曲がった2本の花柱がのび出し、果実が熟すころには固くなるので、衣服や動物にくっつき果実は分散される。葉は大きな卵形で、表裏ともあらい毛が多い。
人家近くの日陰の草地ややぶ陰、竹やぶ、木もれ日のさす林にふつうに生えている。亜高山帯にはない。夏の盛りから花をつけはじめ、秋に山道を歩けば必ずといってよいほど、衣服に果実ががく片に包まれたまま、くっついてくるので、特徴ある果実を十分観察できる。
身近に雑草のように生え、食用になるわけでも薬草として使われるわけでもないが、花序に点々とつく赤い花の美しさが、秋の野草として古くから親しまれてきた。花がすっかり白色になったギンミズヒキ、紅白両様の花が咲くゴショミズヒキ、葉に白や黄色の斑が入ったフイリミズヒキは、ミズヒキとともに江戸時代から栽培されている。これらは茶花や生け花の材料としてもよく使われ、細い花序と大きな葉のとり合わせがおもしろく、1種生けても十分季節感を出せる。文芸の世界では、水引や水引の花が秋の季語として欠かせない。「かひなしや水引草の花ざかり」(正岡子規)日本を含めアジアにはミズヒキとシンミズヒキの2種がある。シンミズヒキは茎は中空で葉の先が細長くのび、葉の表面にあらい毛がない。数はずっと少ない。
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