エビヅル
Vitis thunbergii Sieb. et Zucc.
ブドウ科 離弁花 つる性落葉高木
分布 北海道〜九州
高さ 5m
花の時期 6〜8月
|
|
ブドウのなかまである。葉の反対側に出る巻きヒゲで樹木などにからみつく。葉は、先が3つに分かれるものが多いが、5つに分かれているものもある。このような葉の変化は、つる植物によく見られ、日当たりのよいところよりも、日陰にあるもののほうが、葉がより多く分かれる傾向にある。葉の裏には、茶色の毛がたくさん生えている。雄花と雌花をつける株が別である。花は小さく目立たない。果肉・果汁の豊富な液果は、直径6mmくらいで、ブドウのように房になる。
各地の野原や低い里山の林のふちなどにふつうにある植物で、よくのびるつるについた巻きヒゲと、裏に茶色の毛の多い葉が目印。秋には、ブドウと同じで少し小さい果実の房を探す。暖かい地方に多い。
果実は熟すと甘くなり、生で食べられる。果実酒とすると、酒石酸という成分を含んでいるので、血をふやしたり、元気をつける効果がある。果実酒をつくるときは、十分に熟した果実を用いる。そうでないと、青くさいまずい果実酒となる。
昔、日本にブドウの生きた木が伝わる前は、ブドウには、「エビカズラ」の名が当てられた。エビカズラはエビヅルの古い名前で、のちにブドウをそう呼ぶようになった。エビヅルは、秋にブドウのような黒い液果ができる。この液果をつぶして出る薄紫色をエビ色といった。ヤマブドウは深い山に生え、葉や果実が大きく、果実酒がつくれる。サンカクヅルは、葉が薄く三角形で、エビヅルより、少し山奥に多い。これらは、みなブドウと同じ属の植物で、日本の野生ブドウといえる。ノブドウは、名前はブドウなのだが、ブドウのなかまではなく、果実は食用にならない。
|