微細藻類まめちしき

水の中の小さな生き物観察
-観察編-

採集してきたものを、実際に観察してみましょう。

まずは肉眼で見つける

水の中の小さな生き物( せい ぶつ )の観察には けん きょう がよく使われますが、大きさが0.5mm程度あれば肉眼で、0.05mm程度でも虫めがねがあれば観察できます。

微生物観察1
透明な容器の場合は、黒っぽい台などの上に置くと見つけやすい。

微生物を見つけるコツは、まず動くものを探すことです。流れ星をさがすときと同じように、しばらくの間、水面全体を広く見続けましょう。
微生物は、いつも動き続けているとは限りません。しばらく見ていると目が慣れて、微生物が動きだす瞬間をとらえることができます。

けん きょう で見る

学校の理科室にあるような顕微鏡は、ピント合わせのしやすさなど、操作性がすぐれていますが、2000円から3000円程度で買えるハンディ顕微鏡は持ち運びやすく、出先などでも気軽に観察できる強みがあります。自分が利用できる範囲で、いろいろな方法をためしてみましょう。

用意するもの
  1. カッターマット
  2. ビニールテープ
  3. カッターナイフ
  4. ハンディ顕微鏡
  5. 顕微鏡、スライドガラス、カバーガラス
  6. 集めた微生物やくみ取った水
  7. スポイト
  8. 市販の炭酸水(使うのはほんの少し)
  9. ろうと
  10. キッチンペーパー(1枚)
  11. ろうとが立てられる容器
  12. ピンセット
水が蒸発していくと微生物が死んでしまうので、早めに観察しましょう。

肉眼で見つけた微生物

肉眼で見つけた少し大きい微生物(動物プランクトン)をハンディ顕微鏡でくわしく見てみましょう。

1.カッターマットにビニールテープを貼って、カッターナイフで写真のように穴を開ける。
2.1をスライドガラスにはりつけて、微生物の入った水を入れるわくを作る。
3.採集編の方法1や方法2-2で集めた微生物を肉眼で探し、スポイトで直接ねらって吸い上げる。
4.3の微生物をふくむ水を2のわくにたらす。微生物が動いて観察しづらければ、スポイトで炭酸水を少し加える。
5.空気が入らないようにカバーガラスをそっとのせる。
6.ハンディ顕微鏡などを使い、低倍率からはじめて観察する。
2でわくを作るのは、微生物がカバーガラスにはつぶされないようにする工夫です。

4で入れる炭酸水は、麻酔の役割をするため、入れると微生物の動きが止まります。

左:カイアシ類の動物プランクトン。
上右の写真のように、スマートフォンをハンディ顕微鏡の接眼レンズに近づけて写真を撮ることもできます。

顕微鏡でさがす微生物

茶こしの目にも引っかからない小さな微生物は、方法2の1でペットボトルに集めた水をろ過して顕微鏡で観察してみましょう。

1.ろうとの細い部分にキッチンペーパーを1枚、ピンセットでつめこみ、容器に立てる。-採集編-方法2-Aで集めた水をゆっくりとろ過する。数時間かかる場合もある。
2.ピンセットでキッチンペーパーを取り出し、スライドガラスの上でしぼって、カバーガラスをかぶせる。
3.顕微鏡を使い、まず100倍程度から始めて微生物をさがす。見つかったら、より高い倍率をためして、その微生物の大きさに合う倍率をさがし、観察する。
顕微鏡の視野が暗い場合は、 かい ちゅう 電灯にトレーシングペーパーをかぶせて台にのせ、上の3の写真のように反射鏡に光をあててみましょう。

水の中にはいろいろな生き物がいます。身近ないろいろな場所で採ったものを観察してみましょう。

左、中央:植物プランクトン( けい そう 類)
右:動物プランクトン(カイアシ類)緑の部分はたまご。
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この内容はmilsil(ミルシル)70号「プランクトンの世界」に掲載されています。

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