クロオコックス目

 

1-1アナテケ属 Anathece

 透明な粘質内に多数の楕円形ないし円筒形の細胞が集合して群体を形成する。群体は非常に微小で浮遊性。細胞の幅は約1μmほどでガス胞はない、粘質鞘をもたない。
 本属はアファノテケ属(Aphanothece)の亜属から階級変更された。アファノテケ属は群体や細胞の形態が本属とよく似ているが、群体は肉眼でわかる程度に大きくなり、底生、着生、気生または一時浮遊性で、個々の細胞が粘質鞘をもち、細胞の幅は1μm以上とやや大きい点でアナテケ属と区別できる。また、チラコイドの配列および遺伝子解析の結果からも両属は区別できることが分かっている。

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1-2アファノカプサ属 Aphanocapsa

 透明な粘質内に多数の球形の細胞が集合して群体を形成する。群体は浮遊性。個々の細胞は粘質鞘をもたない、ガス胞はない。本属はミクロキスティス属(Microcystis)と同様に群体は立体的に広がるが、細胞がガス胞をもたない点で区別できる。

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1-3クロオコックス属 Chroococcus

 粘質鞘内に1個または少数の細胞が集合して群体を形成する。藻体は浮遊性または着生。粘質鞘は層状で細胞または細胞群のすぐ外側を覆っている。細胞にガス胞はない。

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1-4コエロスファエリウム属 Coelosphaerium

 球形の透明な粘質鞘の表層に、ほぼ球形の細胞が一層に等間隔に並び、浮遊性の群体を形成する。群体の内部に糸状や紐状の構造物はない。個々の細胞は粘質鞘をもたない。

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1-5キアノディクティオン属 Cyanodictyon

 紐状の粘質内に多数の細胞が一列に連なって群体を形成する。藻体は浮遊性。紐状の群体は折れ曲がるように平面または立体的に広がり、球状や網目状になる。個々の細胞は粘質鞘をもたない、ガス胞はない。

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1-6キアノグラニス属 Cyanogranis

 透明な粘質内に少数ないし多数の細胞が密接に集合して群体を形成する。群体は浮遊性。群体の周囲部にある数個の細胞に鉄化合物が沈着している。個々の細胞は粘質鞘をもたない、ガス胞はない。

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1-7レンメルマンニエラ属 Lemmermanniella

 球形の透明な粘質鞘の表層にほぼ円筒形の細胞が接線方向に一層に並び、浮遊性の群体を形成する。群体の内部に糸状や紐状の構造物はない。個々の細胞は粘質鞘をもたない、ガス胞はない。

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1-8リムノコックス属 Limnococcus

 透明な粘質内に少数の球形または分裂直後の半球形の細胞が集合して群体を形成する。群体は浮遊性。個々の細胞は粘質鞘をもたない、ガス胞はない。

 本属は群体形態の差異、個々の細胞が粘質鞘をもたないこと、細胞分裂の違い、さらに遺伝情報の解析結果からクロオコックス属(Chroococcus)と区別できるとして、クロオコックス属の亜属から階級変更された。

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1-9メリスモペディア属 Merismopedia

 数個ないし多数の細胞が一層に規則正しく縦横に並び、平板状の群体を形成する。浮遊性。

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1-10ミクロキスティス属 Microcystis

 透明な粘質内に多数の球形の細胞が集合して浮遊性の群体を形成する。群体の粘質の外縁は不明瞭でほとんど見えないものと明瞭なものがある。個々の細胞はガス胞をもつ、粘質鞘をもたない。
 ミクロキスティス属の藻は関東から九州、沖縄にいたる地域で発生するアオコの主な構成要素で、ミクロキスチンを産生するので、水源の湖沼ではその挙動が注意深く監視されている。2種以上混生することが多く、その組み合わせや相対的な量は時とともに変化する。

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 以下にミクロキスティス属(Microcystis)の日本でみられる種について、形態の比較一覧表を示す。

※表中の学名をクリックすると詳細をご覧になれます。

種名 群体の大きさ 群体の形態 群体外縁 細胞の大きさ 細胞密度
M. aeruginosa 大型化する 網状、帯状、楕円状など多様 不明瞭 3μm以上
M. firma 小さい ほぼ球形 不明瞭 3μm以下
M. flos-aquae 小さい ほぼ球形 不明瞭 3μm以上 非常に密
M. ichthyoblabe 大型化する 大小のいびつな球形、スポンジ状 不明瞭 3μm以下 やや疎
M. novacekii 小さい 小型群体が緩く集合 不明瞭 3μm以上
M. smithii 小さい ほぼ球形 不明瞭 3μm以上
M. viridis 比較的小さい 立方体の小群体が密に集合 不明瞭 3μm以上 8細胞の立方体を形成
M. wesenbergii 大型化する 球状、帯状、楕円状など多様 明瞭 3μm以上 やや疎
1-11パンヌス属 Pannus

 透明な粘質内に球形の細胞が1-2(-3)層に平板状に並び、浮遊性群体を形成する。群体の形態は円形、葉状、網目状など。個々の細胞は粘質鞘をもたない。

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1-12ラディオキスティス属 Radiocystis

 透明な粘質内に細胞が放射状に配列した浮遊性群体を形成する。個々の細胞は粘質鞘をもたない。

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1-13スノウェラ属 Snowella

 ほぼ球形の透明な粘質鞘の表面に細胞が一層に並び、浮遊性の群体を形成する。細胞は群体中央部から二叉分岐しながら外側に向かって放射状に伸びる粘質糸の先についている。細胞が2個または4個ずつ密接して並んでいることが多い。個々の細胞は粘質鞘をもたない。

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1-14ヴォロニチニア属 Woronichinia

 群体の中心から放射状に並ぶ粘質の柄を持ち、柄の先端部である群体表面近くに細胞が並ぶなどの点でMicrocystisと区別できる。

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