分子生物多様性研究資料センター

サンプル保存の重要性
研究で使用した標本は、研究成果を担保する「証拠」として、長期的な保存が求められます。たとえば、形態を検討した乾燥標本や液浸標本は、証拠標本として標本庫で長期的に保管されます。特に、学名の基準となるタイプ標本のように、重要な標本は永続的な保存が求められます。一方、DNAについては、DNA配列情報を決定して公開データベース等に登録して論文を出版した後に、組織やDNAのサンプルが破棄されてしまう例が少なからず見られます。証拠標本を残したとしても、標本を乾燥あるいは薬品処理してしまうと再び良質のDNAを取得するのは困難です。そのため、後から同じ個体の標本を利用して研究結果を再検証できないという問題が生じます。これを解決するには、組織やDNAのサンプルも「証拠」として保存する必要があります。実際にDNA研究に使われた個体の組織やDNAのサンプルは、「DNA配列情報の証拠標本」に相当するものであり、当センターの重要な任務は、研究結果を保証するためにこれを半永久的に保存することです。