パレオスポンディルスは、英国スコットランドのデボン紀(約4億年前)の湖の地層から発見される魚類化石で、「謎の化石」と言われてきました。東京大学、理化学研究所、当館(真鍋真副館長)らのチームで、当館所蔵のパレオスポンディルス標本を分析(分析に当館のCT室等を利用)、研究した結果、両生類(四肢動物)に近い魚類らしいことが解明され、執筆した論文が2022年6月2日発行の『Nature(ネイチャー)』に掲載されました。
今回、パレオスポンディルスの一部を含む岩石とCT画像から復元された頭部模型を、常設展示の「魚類の発展」コーナーと関連付けて展示します。
開催期間 | 令和4年7月5日(火)~10月10日(月・祝) |
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展示資料 |
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展示場所 | 地球館地下2階 ⓭番「魚類の発展」付近 |
今から約4億年前の古生代デボン紀、魚類の中からヒレではなく手足をもつ四肢動物が進化して、上陸出来るようになったと考えられています。
今回の研究によって、パレオスポンディルスはオタマジャクシのような幼生で、実はユーステノプテロンよりも四肢動物に近縁な化石だったらしいことが明らかになりました。
ヒレを手足に変えるのは大きな進化ですが、現代の両生類でオタマジャクシがカエルになるように、オタマジャクシのような幼生の段階があることが、手足の形成に関係していたかもしれません。
地球館地下2階のユーステノプテロンとスクレロケファルスの展示の間に、パレオスポンディルスのような小さな幼生の化石がいたことを知っていただけたら幸いです。
国立科学博物館 副館長:真鍋 真