ホーム
≫
研究室コラム
研究室コラム・更新履歴
2024年4・5・6月
2024年1・2・3月
2023年10・11・12月
2023年7・8・9月
2023年4・5・6月
2023年1・2・3月
2022年10・11・12月
2022年7・8・9月
2022年4・5・6月
2022年1・2・3月
2021年10・11・12月
2021年7・8・9月
2021年4・5・6月
2021年1・2・3月
2020年10・11・12月
2020年7・8・9月
2020年4・5・6月
2020年1・2・3月
2019年10・11・12月
2019年7・8・9月
2019年4・5・6月
2019年1・2・3月
2018年10・11・12月
2018年7・8・9月
2018年4・5・6月
2018年1・2・3月
2017年10・11・12月
2017年7・8・9月
2017年4・5・6月
2017年1・2・3月
2016年10・11・12月
2016年7・8・9月
2016年4・5・6月
2016年1・2・3月
2015年10・11・12月
2015年7・8・9月
2015年4・5・6月
6月25日
目指せ記載100種超え!
クモノスヒナノチャワンタケ。これをもとに新しい科を作りました。
ふと気がついたら大学4年生のときからもう35年も菌類の研究をしていました。続けられたのは、周りに活動を支えてくれる皆さんがいたからです。しかし、それにもまして感謝しなくてはいけないのは菌類の多様性です。この機会にカウントしたら、日本新産、新種、新組み合わせ、新属、新科、など合計94個の分類群を記載していました。まだまだ記載しなくてはいけない種がたくさんあります。定年まで100超えられるかな?
(植物研究部:細矢 剛)
6月18日
ウグイスの行動実験進行中
鳥の生態を知るには、鳴き声の機能を明らかにすることが重要です。ウグイスには「ピルルルルケッキョケッキョ...」と長く続く不思議な声があります。ところがウグイスは藪の中にすむ鳥、その声を聞いた他のウグイスがどんな行動をとっているのかが見えません!そこで特別な許可を得て捕獲したウグイスを林の中の小さな鳥小屋に入れ、鳴き声を聞かせて反応を調べる実験をしています。録画を分析し、未知の音声コミュニケーションを明らかにしたいと考えています。
(動物研究部:濱尾章二)
6月11日
世界が集う
企画展で展示した元素標本
昨年は私が関係する国際イベントが2つありました。ひとつは、9月に開催された
「国際博物館会議ICOM京都大会 」
。これまで最多の4590人が参加しました。担当した理工系博物館の分科会CIMUSETもいつもの約1.5倍の100人近くが参加し、交流を深めました。もう一つが、メンデレーエフによる周期律発見150年を記念した
「国際周期表年 」
。日本の実行委員に加わりました。世界中で関連イベントが開催されましたが、閉会式が12月に東京で行われ、世界から多数の参加がありました。当館でも国内イベントの最後として周期表に関する
企画展
を12月中旬から約1ヶ月間開催し、格別美しい元素標本や「切手周期表」などを展示しました。世界の人々が集う機会が戻ってくる日を切に願っています。
(理工学研究部:若林文高)
6月4日
#おうちでかはく
公式
youtube
で一家に1枚ポスターを紹介
新型コロナウィルス感染症対策のため、展示のみならず研究や標本収集活動にも様々な制約が生じています。特に、野外調査、研究集会などは、軒並み中止、あるいは延期となり、その対応に追われる毎日です。それでも、今こそすべきこと、今しかできないことを優先して、机に向かっています。SNSで発信中の「#おうちでかはく」を機に、普段でもなかなか上野の展示をご覧いただくことができない方への新たな情報発信手段を充実し、より多くの方に「科学」への興味と理解をいただけるように願っています。
Stay safe! ごきげんよう!動画、見てね!
(地学研究部:宮脇律郎)
5月28日
湿原に侵入するハイゴケ
尾瀬ヶ原のウスベニミズゴケと混生するハイゴケ
ハイゴケは国内の低地に最も普通に見られるハイゴケ属の種で、明るい地上や岩上に生育します。最近実施した本州中部に位置する尾瀬ヶ原と戦場ヶ原の調査で、ハイゴケを確認しました。本来の生育地ではない湿原にハイゴケが、いつ、どのように侵入したのかは不明ですが、湿原の乾燥化や人間活動が原因のようです。今回の湿原でのハイゴケの確認は生物相を継続的に調査する必要性を示す一例と考えられます。
(植物研究部:樋口正信)
5月21日
在宅勤務中 南の島を想う
在宅勤務中、私は楽しかった調査研究のことを想い出しました。「沖縄に来ないで」と言われる中、沖縄の話をするのははばかれるのですが、写真は昨年の7月に実施した沖縄県西表島調査のものです(中央が私)。琉球大学の研究施設をお借りして、動物研究部の3名と大学院生で出かけました。彼らはスキューバダイビングで採集。私は船に残り、釣りをして魚を集めました。私の仕事は魚の寄生虫を採集することで、新鮮なうちに魚を解剖し、生きた寄生虫を固定して標本にします。標本の染色等の処理も済んでいて、顕微鏡で調べたいのですが今はおあずけ状態が続いています。
(動物研究部:倉持利明)
5月14日
白亜紀最末期の恐竜をアルゼンチンでさがす
竜脚類恐竜の尾の部分を石膏で保護する作業。化石はこの状態でパタゴニアの冬を越すことになってしまいました。
2020年3月にアルゼンチンのパタゴニア最南部に発掘調査に行ってきました。白亜紀後期の約6800万年前の地層から発見された竜脚類恐竜の化石などを、アルゼンチン自然科学博物館の方々と一緒に発掘してきました。化石は軍のヘリコプターが輸送してくれるはずだったのですが、コロナウィルスによる計画変更で、まだ山の上にあります。彼の地はこれから厳しい冬を迎えるので、化石を麓に運べるのは来年になってしまいそうです。
(標本資料センター:真鍋 真)
5月7日
延期した巡回展
大工道具をテーマにした博物館・竹中大工道具館では、巡回展「
木組 分解してみました
」を企画し、各地を巡回しています。当館は巡回先のひとつで、展示に所蔵資料を追加して公開の準備をしていましたが、新型コロナウィルスによる昨今の状況を踏まえ、開催を延期しました。
東京会場の展示品の中には、約20年ぶりに日の目を見るものもあります。そうした資料に対しては、「長らくお待たせしたけど、もう少し待ってね」と、声をかけたい気持ちです。
(理工学研究部:久保田稔男)
4月30日
寄生バチの世界
カシワの芽に産卵するタマバチ
最近「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」という本の執筆に携わりました。ハチといえばミツバチやスズメバチが有名ですが、実はハチの仲間で一番種数が多いのは、寄生バチと呼ばれるハチたちです。他の昆虫やクモに卵を産み付け、ふ化した幼虫が寄主を食い殺すという恐ろしい生態をもつハチたちですが、自然界では生態系のバランスを保つ「ハンター」として、重要な役割を担っています。ただ、寄生バチの中には、そんな恐ろしい生態を捨て、ベジタリアンになったものもいたりします。今回執筆を担当した「タマバチ」というハチも、そんな植物を食べる寄生バチの一つです。
(動物研究部:井手竜也)
4月23日
港川遺跡公園
公園整備が進む港川遺跡。岩壁の中央やや左よりに縦に走る割れ目から、港川人が発見された。
日本館2階に展示されている約2万年前の旧石器人(港川人)は、1970年に沖縄県八重瀬町の港川遺跡で発見されました。那覇空港から車で40分ほどのこの遺跡は、現在、八重瀬町によって公園整備が進められています。視界いっぱいに広がる石灰岩の岩壁には、人骨が埋まっていた巨大な割れ目が発掘当時のまま保存されており、圧巻です。沖縄観光の際には、ぜひ港川遺跡と近隣の八重瀬町立具志頭歴史民俗資料館(港川関連展示が充実しています)に足を運んで、遠い昔に思いを馳せてみてください。
(人類研究部:藤田祐樹)
4月16日
地震学の父 ジョン・ミルン
地震国日本での地震学の発展は、イギリスの地震学者「ジョン・ミルン」によってなされました。当館ではミルンに関係する資料を展示していますが、ほかにも2枚の肖像画を所蔵しており、最近これらの修復を行いました。何しろ100年以上も前に描かれたもので、作品は少し傷んでいました。今後の長期の保管や展示に耐えられるように紫外線をカットするアクリルや額を装着し、博物館資料としてだけでなく、美術品としても展示できる作品となりました。いずれ皆様にもご覧いただける機会を作りたいと思います。
(理工学研究部:室谷智子)
4月9日
進化学的ターダッキン
a) 進化学的ターダッキンの細胞模式図. かつてのシアノバクテリア(現在の葉緑体)、生物X(青)と生物Y(赤)は元々異なる生物。b)発見された微生物。東京大学、高橋和也博士・岩滝光儀博士撮影。
ターダッキン(Turducken)は、チキンをダックに詰め、それをターキーに押し込んで焼いたしゃれた料理です。昔、ある微生物について論文を発表した時に、“これは進化学的ターダッキンだ!” みたいに海外の記事で紹介されたことがあります。というのも、その微生物はかつてのシアノバクテリア(チキン?)を取り込んだ生物(ダック?)を、さらに他の生物(ターキー?)が取り込み誕生したものだったからです(図a)。形態としても、中の生物の痕跡核があります。さて、私が共同筆頭・責任著者として参加した “新たな進化学的ターダッキン” の論文が
米国科学アカデミー紀要
に掲載されました(図b)。痕跡核をもつ新奇生物の発見約30年ぶりです。その記者発表用文章を書くにあたり、微生物をターダッキンに見立てて紹介するセンスが自分にもあればなぁ、と思い出したのでした。
(動物研究部:谷藤吾朗)
4月2日
電気加熱式スプレーガン
化石の写真を撮る時は、形や彫刻の陰影を鮮明にするため、標本全体を単色にする処理が欠かせません。塩化アンモニウムを加熱させて生じた白煙でコーティングすることが一般的ですが、火を使わないもっと手軽な方法は無いものかと思っていました。アイディアを探すと、ニクロム線を使った「電気加熱式スプレーガン」の製作記事 (
Sakamoto, K. 1970.
USGS Professional Paper
, 700D: 230–232.
) に行き着いたものの、材料選びに難航。苦節2年、ようやく実用になるスプレーガンが出来上がり、「ホワイトニング1号」と名付けて愛用しています。
(地学研究部:芳賀拓真)