館長あいさつ

館長あいさつ

この度、国立科学博物館の館長を拝命した真鍋真と申します。私は2025年3月まで30年ほど、国立科学博物館で恐竜など主に中生代の爬虫類や鳥類などの化石の研究をしてきました。

博物館は、建物という「ハコ」に、標本資料という「モノ」が集められ、研究員や学芸員ら「ヒト」がそれを調査研究や、展示を行う組織と形容されることがあります。私はそれに「ヒト」だけでなく「ヒトビト」を加えます。「ヒトビト」は研究者だけでなく、博物館でさまざまな仕事をする人たち、そして来館者の皆さんのことです。博物館がそうした「ヒトビト」の居場所のようなものになれば、ひとり一人の「ココロ」の中に小さな宇宙のようなものが育っていきます。最近、東日本大震災から15年という数字を目にすることが多かったかと思います。私は2011年4月から福島県や岩手県の被災地でのボランティア活動に参加するようになりました。その中で、震災前から地域の博物館に集い、育てられてきた若者たちと出会うことができました。それは、それぞれの地域の博物館の「ヒトビト」が集う場所の力を再確認する経験になりました。

国立科学博物館は2027年に開館150周年を迎えます。このような周年行事はその組織のためのイベントのように感じられるかもしれません。私は「ヒトビト」に現代と近未来の地球と自分を考えるきっかけにしていただけたらと思っています。皆さんひとり一人が近未来を想像する時、その風景の端っこの方に科博が存在してくれたら嬉しく思います。

現在、世界各地で戦争や紛争が起こってしまっています。こんな時代だからこそ、「科学を文化に」が、これまで以上に重要な地球に私たちはすんでいます。博物館にはたまにしか来られなくても、科博をもっと身近な存在に感じていただけるよう、皆さんの「ココロ」の中に小さな宇宙と博物館を感じていただけるように、私自身も「ヒトビト」のひとりとして活動してまいります。よろしくお願いいたします。

2026年4月
独立行政法人 国立科学博物館長
真鍋 真

館長あいさつ(真鍋館)©️与古田松市