第353号
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科博メールマガジン第353号
発行日:2010年3月11日
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一昨日の夜は上野でも雪が降りましたが、心なしか桜のつぼみが以前より少
しふくらんでいるように感じます。ゆっくりですが春は一歩ずつ近づいている
のですね。
3月13日より開催します、特別展「大哺乳類展−陸のなかまたち」の準備が
大詰めを迎えています。今回の展覧会は、当館が誇るヨシモトコレクションを
中心に哺乳類の化石、はく製、骨格など一挙約400点を展示します。その中で
も珍しいものとしては、アフリカゾウとアジアゾウの鼻だけの液浸標本があり、
鼻の内部の様子や表面の毛の生え方などがよくわかります。また、世界最大級
のアフリカゾウの骨格標本は想像以上に迫力があります。展示しているはく製
は、もう自然では見られないものや、普段なかなか近くで見ることができない
もので、それらが間近で細部まで見ることができ大変貴重です。
皆様に喜んでいただけるようスタッフ一同オープンに向けて誠意を込めて作
り上げておりますのでぜひ楽しみにお待ち下さい。
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「腹鰭が一つしかない魚」
■ かはくの縁の下 「企画展、仕込み中です」
■ ボランティアだより 「ツクシとスギナは親子?」
■ お知らせ
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◆ エッセイ ◆
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腹鰭が一つしかない魚
標本資料センター 松浦 啓一
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魚類の鰭(ひれ)には胸鰭や腹鰭のように一対あるものと背鰭や臀鰭(しり
びれ)、尾鰭のように一つしかないものがあります。腹鰭は進化を通じて四肢
動物(両生類、は虫類、鳥類、ほ乳類)の後ろ足になりました。つまり、脊椎
動物は「後ろ足」を一対もっているわけです。魚の中にはアナゴやフグのよう
に腹鰭を失った仲間がいますが、ふつうの魚は一対の腹鰭をもっています。し
かし、腹鰭が一つしかない変わり者がいます。それはモンガラカワハギやカワ
ハギの仲間です。彼らの腹鰭は1本の棒のような腰骨で支えられています。カ
ワハギの仲間は各地の沿岸でごくふつうに見かけますが、腹鰭(後ろ足)の構
造という点から見ると、脊椎動物の中の異端児といえるでしょう。
http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=matsuura
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◆ かはくの縁の下 ◆
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企画展、仕込み中です
事業推進部 小松 孝彰(企画展担当)
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去る2月28日(日)、「深海探査と微化石の世界」と「ハゼの世界とその多
様性」、2つの企画展が終了しました。展示は早々に撤収され、あっという間
の出来事で会場にはその面影すらありません。展示は料理と同じで、作るため
には多くの労力と時間がかかるものです。撤去が終わり何もない展示室で感傷
にふける余裕もなく、縁の下では、次の企画展の準備が着々と進んでいます。
私が担当しているもので現在"仕込み中"のものは、この秋に開催する企画展
「明日の食と農を考える(仮称)」です。まず、この固いタイトルを何とかし
なければならないのですが、難しいメッセージをいかにわかりやすく、どのよ
うな資料を通じて伝えるか、アイデアを出し合い検討を重ねています。例えば、
現代と江戸時代の田んぼを比較するために、本物の田んぼを展示室に持ってき
てしまおう!というアイデア。江戸時代に行って田んぼを取ってくるわけには
いきませんので、この展示のために当時の田んぼを某所で再現し、剥ぎ取って
来て展示する予定です。みなさんの知的好奇心を刺激し、記憶に残るような展
示をいかに作り上げるか?これもまた料理と同じで、おもてなしする相手のこ
とを思いながら、素材を選び、時間をかけ心を込めて調理する・・・、この過
程がとても大切なのだと思います。
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◆ ボランティアだより ◆
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ツクシとスギナは親子?
教育ボランティア 安井 泰子
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“ツクシ誰の子、スギナの子”という言葉がありますが、ツクシとスギナは
親子なのでしょうか?ツクシは春めいてくると、土手や野原に顔を出してきま
す。10cmくらい伸びたところで頭の部分から緑色の胞子(ほうし)を飛ばし、
やがて枯れます。すると、ツクシのすぐ近くに生えてきた小さなスギナがぐん
ぐん伸びて秋に枯れるまで光合成を行い、地下の小さなイモのような無性芽
(むせいが)というところに栄養を蓄えるのです。冬は地上部にはツクシもス
ギナも見当たりませんが、地下にはすでにツクシの赤ちゃんが生まれて春にな
って芽を出すのを待っています。ツクシとスギナは地中のくきでつながってい
て、スギナが作った栄養をもらってツクシが育つと考えれば親子と言えますし、
地中の同じくきから伸びてくる兄弟とも言えるかもしれません。
ところで、最近ツクシを見たことがありますか?見かけたら、頭の部分にそ
っと息を吹きかけてみてください。緑色の胞子が煙のように広がっていくのが
見られるでしょう。この胞子を顕微鏡で見てみると、胞子から糸(弾糸)が4
本伸びているのが見られます。乾燥していると、この糸を広げて遠くまで飛ん
でいくのです。湿っていると、糸は胞子に巻きついてしまいます。
きたる3月21日(日)に教育ボランティア特別企画として、“シダの観察”を
開催します。その中で、地球館3階の“発見の森”にあるシダと共にツクシの
胞子の観察も行う予定です。また、ツクシとスギナのパウチしおりを作ったり
(有料50円)、シダのパズルも行うつもりです。是非、見にいらしてください。
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◆ お知らせ ◆
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【特別展「大哺乳類展−陸のなかまたち」】〈予告〉
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国立科学博物館が秘蔵する「ヨシモトコレクション」を中心とした様々な地
域に住む哺乳類の標本から、その進化、体のしくみやくらしを知ることができ
ます。
2010年は「国際生物多様性年」。私たちと同じなかま、哺乳類を知ることで、
地球で多様な生き物と一緒に生きていくことの大切さを考えてみませんか。
平成22年3月13日(土)〜6月13日(日)
詳しくは下記をご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2010/mammal/
※夏には「海の哺乳類」をテーマにした特別展を開催いたしますので、あわ
せてお楽しみください。
特別展「大哺乳類展−海のなかまたち」
平成22年7月10日(土)〜9月26日(日)
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企画展 「ものづくり展 MONODZUKURI EXHIBITION」 <予告>
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「ものづくり日本大賞」は、ものづくりの現場を支える人々を表彰し、広く
世の中に伝えるために創設された賞です。2009年には第3回ものづくり日本大
賞が実施され、多くの人材がその栄誉に輝きました。本企画展では、これらの
受賞者とその優れた技術について紹介します。
平成22年3月13日(土)〜4月4日(日)
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【企画展 第26回植物画コンクール入選作品展:筑波実験植物園】
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当園では、植物への理解を図る教育普及事業の一つとして、昭和59年度から
毎年継続して植物画コンクールを実施しています。
平成21年度は第26回を迎え、全国から小学生の部2,403点、中学生・高校生
の部1,254点、一般の部232点の合計3,889点の応募がありました。
このたび、入選作品107点が決定しましたので、作品の展示会を下記のとお
り開催いたします。素晴らしい作品の数々を是非ご覧下さい。
平成22年3月2日(火)〜平成22年3月14日(日)
●イベント情報●
講座「植物画の描き方」を3月6日(土)、3月14日(日)に実施いたします。
参加希望の方は事前申込が必要です。詳細は下記をご覧ください。
http://www.tbg.kahaku.go.jp/event/topics/2010/contest24th/
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【ホットニュース第41回をアップしました】
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ホームページで『ダイオウイカ ― 深海のミステリー』を公開しました。
今回の概要
2月20日、新潟県新潟市の海岸に漂着しているのが発見され話題となった世
界最大級の無脊椎動物、ダイオウイカ。
国立科学博物館では、窪寺無脊椎動物研究グループ長が、ダイオウイカを含
む大型頭足類の分類や生態などを調査、研究しています。
ダイオウイカの調査、研究の成果と、少しずつ明らかになってきた生態をご
紹介します。
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/index.php
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【東京・春・音楽祭−東京のオペラの森2010−】
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東京の春の訪れを、音楽を媒介としたお祭りで祝うー「東京・春・音楽祭」。
2010年も3月から4月にかけて、上野のあらゆる場所に色とりどりの音色が響
きわたります。国立科学博物館では、バラエティ豊かな6つの「ミュージアム・
コンサート」を開催します。歴史が刻みこまれ、趣のある空間で、間近に迫力
ある演奏を聴けるのも「ミュージアム・コンサート」ならではのお楽しみのひ
とつです。
桜とともに音楽が舞う上野の森に、ぜひ足を運んでみませんか。
お問合せ 03-3296-0600(東京・春・音楽祭実行委員会)
詳細は、音楽祭ホームページをご覧ください。
http://www.tokyo-harusai.com/
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【雑誌milsil(ミルシル)2010年3号と定期購読について】
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特集は「寿命−ここまでわかった!そのメカニズム」です。多くの方が興味
を持たれるテーマではないかと思います。科学の視点から捉えた寿命のメカニ
ズムを本誌でご確認下さい。
発行日 :平成22年3月1日(月)
販売場所:当館ミュージアムショップ(日本館地下1階)
ジュンク堂書店池袋本店 (東京都豊島区南池袋2-15-5)
明正堂アトレ上野店 (JR上野駅内)
定 価 :400円(税込)
定期購読やバックナンバーなど詳細については下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
友の会、賛助会員(個人特別会員)の方には無料でミルシルをお届けしてい
ます。
詳細については下記をご覧下さい。
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
(賛助会員)http://www.kahaku.go.jp/userguide/support/index.html
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【科博のイベント情報紙「kahaku event」4−5月号発行!】
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4−5月号では、現在開催中の展覧会情報や4−5月開催予定のイベントを
紹介しています。
情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展示や学習
支援活動などの情報を掲載しています。国立科学博物館の施設内等で無料で配
布しています。見学やイベント参加の計画をたてる際にご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
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◆ 科博関連メディア情報 ◆
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○ 3月27日(土) 14:00〜
放送局 : TBSテレビ(一部地域をのぞく)
番組名 : 飛び出せ!科学くん(仮)
ココリコ田中さんと中川翔子さんがアフリカゾウの全身
骨格の組み立てを手伝ったり、科学博物館の「金庫」の
中に保管されている標本を紹介します。
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★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
宛先: magazine@kahaku.go.jp
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◆編集:国立科学博物館 事業推進部 広報・サービス課
◆発行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
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