2015-06-10

80年で起きたさえずりの進化−ハワイの移入種、ウグイスの研究から


ハワイの移入種と在来種への影響

図4.ハワイに持ち込まれ野生化した鳥たち。コウカンチョウ(南アメリカ原産;a)、チョウショウバト(東南アジア原産;b)、ショウジョウコウカンチョウ(北アメリカ原産;c)、シリアカヒヨドリ(東南アジア原産;d)。


 ハワイのウグイスの研究では、人為的に持ち込まれた歴史がわかっていることで、さえずりが短い期間で変化することを示すことができました。しかし、本来生息していない地域に生物を持ち込むことは、決してよいことではありません。
 かつては、移入種による生態系のかく乱の問題がよく理解されていませんでした。ハワイでは(他の島でも)、移住した人たちが本国(故郷)の鳥を放すことはふつうに行われていたようです。しかし、その影響で、もともと生息していた鳥が絶滅したり、大きく数を減らしたりしてしまったのです。ハワイでは、移入種が持ち込んだ鳥マラリアが在来種に伝染し、耐性をもっていなかった在来種が減少したといわれています。
 ハワイで独自の進化をとげたハワイミツスイなど貴重な在来種は、いまでは深い山に分け入るとやっと見ることができるというほど少なくなってしまいました。ワイキキの海岸沿いを歩くと、日本から持ち込まれたメジロをはじめ世界各地からの移入種ばかりが目立ちます。移入種が生態系を大きく変えてしまうことを考えると、ハワイにウグイスがすんでいるのは喜べることではないといえるでしょう。

〈執筆・監修〉
 国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ グループ長 濱尾章二