2015-06-10

80年で起きたさえずりの進化−ハワイの移入種、ウグイスの研究から


さえずりが複雑・単純になるしくみ

図2.(a) ウグイスのなわばり配置の例。Hamao and Ueda (1999) Jpn J Ornithol 47より改変して転載。(b) 繁殖期後半のオスの喉。埼玉県で7月に撮影。3月から活発にさえずり続けたため、喉の皮膚が伸びてしまっている(矢印)。


 なぜ、ハワイではウグイスのさえずりが単純になったのでしょう。それを考えるには、さえずりがどのようなはたらきをもつのかを知らなくてはなりません。
 小鳥のオスは春、繁殖期を迎えると、さかんにさえずります。さえずりには、他のオスからなわばりを守るはたらきと、メスを引きつけるはたらきがあります。多くの鳥で、複雑なさえずりはライバルのオスを排除する効果が高いことや、メスが複雑なさえずりのオスを選んでつがいになることがわかっています。
 日本ではウグイスは季節的な移動を行います。暖かい地方や低地で越冬したオスたちは、春に北の地方や山地へ戻ると、いわばゼロからなわばりを確立し、メスを誘引しなくてはなりません。なわばりをもつことができないオスも多くおり、へたをするとなわばりを奪われてしまいます。このような環境では、複雑にさえずらないとなわばりを維持し、子を残すことはできないでしょう。
 それに対し、ハワイのウグイスは移動をしません(できません)。一年中、いわば顔なじみの仲間と暮らしている状態です。ライバルオスやメスからの性に関する淘汰の圧力が弱くなり、複雑にさえずらないオスでも子を残していると考えられます。