2013-12-26

ランの「生きた化石」が世界で初めて開花!


ランの「生きた化石」が世界で初めて開花

写真:「生きた化石」ノイウィーディア・ボルニエンシス



 色とりどりのあでやかな花。花粉を運ぶ動物との間のおどろくべき駆け引き。ランは進化の頂点にある新しい植物と言われますが、本当でしょうか?

 2013年12月、筑波実験植物園の熱帯雨林温室で、ラン科の「生きた化石」、ノイウィーディア・ボルニエンシス(Neuwiedia borneensis)が開花しました(写真)。カリマンタン(ボルネオ)島低地の熱帯雨林に自生する種ですが、栽培したものとしては世界初の開花とみられます。

 ぱっと見た感じでは、ラン科というよりもユリの仲間のようです。長さ45cm、幅5cmほどのしわの多い葉を数枚つけ、15cmに達する花茎に長さ8mmの白い花を約50輪つけます。花をくわしく観察してみましょう。花被片(いわゆる花びら)は6枚。どれも同じような形をしています。花の中心にはめしべが1本、そのまわりにおしべが3本あって、付け根で合体しています。おしべの先端に大きな葯が付いていて、花粉がたくさんこぼれ落ちています(次ページに写真)。

 このノイウィーディアを手がかりにランの進化の道のりを探ってみましょう。