2014-01-22

「小笠原弧の岩石・鉱物」〜「魚眼石」の標本を採集


小笠原を特徴づける岩石、無人岩

図3 無人岩中の鉱物。上:輝沸石、左下:単斜頑火輝石、右下:玉髄


 小笠原諸島の基盤は「無人岩(むにんがん)」という極めて特殊な岩石で構成されています。無人岩は水分を多量に含むマントル物質(注1)が部分溶融して出来たマグマが、約4600〜4800万年前に噴出して固化したものと提案されていますが、そのようなマグマの生成機構は良く分かっていません。

 マントルは、主にオリビンという鉱物から構成されます。このマントル物質が部分的に溶融すると、通常は、海洋プレートを構成する「玄武岩」が生成されます。玄武岩は斜長石やオリビンなどの鉱物から構成されます。一方、無人岩は斜長石もオリビンも含まず、「単斜頑火輝石」(たんしゃがんかきせき)という大変珍しい鉱物の斑晶や、暗緑色の古銅輝石(こどうきせき)をたくさん含みます。無人岩が風化浸食を受けると、風化に強い古銅輝石だけが残り、やがて海岸に集まって緑色のうぐいす砂となります。うぐいす砂の海岸は小笠原では一般的ですが、この光景が見られる場所は世界でも小笠原だけです。また、無人岩に含まれる鉱物はとても多様性に富んでおり、様々な種類の沸石(ふっせき)などが含まれます。無人岩や安山岩の亀裂に沿って玉髄(ぎょくずい)の脈が伴うことも多く、海岸の礫の中にも、波で洗われて丸くなった白い玉髄が良く見られます。

(注1)マントル物質とは
 地球は層状構造をしており、外側から、地殻、マントル、外核、内核に大別できます。地殻の厚みは大陸で30〜70km、海洋では5〜10kmで、それより深く、外核より浅い部分をマントルと呼びます。マントルは更に、構成鉱物によって、上部マントル(約410km以浅)、マントル遷移層(約410〜660km)、下部マントル(約660〜2900km)に細分されます。地殻とマントルは共に、ケイ酸塩鉱物を主体とする岩石から構成されていますが、主要構成鉱物の種類が異なります。