2012-12-10

光合成する植物と光合成しない植物の雑種が世界ではじめて開花


光合成する植物と光合成しない植物の雑種が世界ではじめて開花



 国立科学博物館筑波実験植物園では、光合成する植物と光合成しない植物の雑種の開花に世界で初めて成功しました。2012年10月26日(金)に、プレスリリースでも報告をいたしました。

 咲いた植物はランの仲間で、正常な葉をつけて光合成をおこなうスルガラン(Cymbidium ensifolium)と葉がなくて光合成をおこなわないマヤラン(Cymbidium macrorhizon)の雑種です。2006年8月に交配。栄養の入った寒天培地で播種・培養し、開花に6年を要しました。この植物が正常な葉をつけて光合成をおこなうかどうかはまだ分かりません。

 ふつう植物は葉で光合成をおこない、生きていくための栄養を作ります。ところが、マヤランのように光合成をやめ葉を作らない植物がまれにあるのです。こうした光合成しない植物がどのような道すじをたどって進化したのか、これまでまったく分かっていません。この謎を解き明かす有力な方法が、雑種とその子孫を育てて、個体ごとの性質と遺伝子の関連を調べることです。今回の成功をきっかけに、光合成をやめるという奇妙な進化の解明が進むことが期待されます。

 今回のホットニュースは、世界ではじめて開花したこの興味深い雑種のランについてとりあげます。