2012-08-19

夏休みの自由研究で守られた貴重なマリモ − 絶滅危惧の山中湖フジマリモ


フジマリモ − 山中湖村での栽培および野生復帰に向けた取り組み

 国立科学博物館・植物研究部では、亀田さんのフジマリモについて、さらに詳しく研究することとなりました。どの種類と近い種類かといった分類学的な研究について引き続き取り組んでいき、さらに、その保全についての研究を行っています。

 亀田さんが50年以上にわたって育ててきたことで守られたこの貴重な「フジマリモ」を将来にわたって安定的に育て続けることが必要と考えられます。「フジマリモ」が山中湖で危険な状態にあり、野生絶滅の可能性があることも踏まえ、ひとまず山中湖外で安定的に栽培すること、そして万一山中湖で野生絶滅が生じた時にはこのフジマリモが元の状態で生息するように復元することへの取り組みについても検討する必要があると考えています。

 そのため、亀田さんと共同で、様々な生育条件(温度・水・光条件)でマリモの生長観察を続け、どのような条件が亀田マリモの生育に適しているかについて、これからも検討を行っていきます。
 現在までに、このフジマリモは、阿寒湖のマリモに比べて高温に強く成長が早いといった特徴があることが分かってきています。

 ■ 現在のフジマリモ
 山中湖村では、山中湖交流プラザ「きらら」において栽培・展示・研究を行い、貴重なマリモが多くの方にご覧いただけるよう観光資源として役立てること、そして、国立科学博物館・植物研究部が専門的な指導のもと、これらのマリモを増殖し、将来的には、学校教育活動等で利用すること、そしてさらに、マリモの野生復帰も視野に入れて取り組んでいます。
 このマリモの話をきっかけに、皆さんにもより一層、生物の絶滅危惧について関心を持っていただければと思います。



監修・協力:植物研究部 菌類・藻類研究グループ 辻彰洋 研究主幹