2011-04-26

100年ぶりに発見!ヒメモヅルの新種


100年ぶりに発見!ヒメモヅルの新種

 サンゴの隙間で長い腕をうねうねとさせている様子が見られるクモヒトデ。そんなクモヒトデの仲間の一つの「ヒメモヅル」の新種が100年ぶりに発見されました。そもそもヒメモヅルとはどんな生き物なのでしょうか?新種はどのようにして発見されるのでしょうか?今回のホットニュースでは、今回の新種発見をきっかけとして、博物館で行われている「分類学」の研究の様子と、分類学者を目指す若き研究者の活躍を紹介したいと思います。
(また、科博NEWS展示「100年ぶりに発見!ヒメモヅルの新種」を2011年4月26日(火)〜6月26日(日)まで開催いたします。)

 国立科学博物館では、東京大学と連携して博物館で研究を行う大学院生を受け入れています。そんな大学院生の一人、岡西政典さんは、東京大学の准教授を兼任している動物研究部・海生無脊椎動物研究グループの藤田敏彦研究主幹に指導を受けながら、クモヒトデ類の研究を進めています。岡西さんは、クモヒトデ類の中でも特に研究の進んでいない、「ツルクモヒトデ類」の系統分類学的研究に取り組んでいます。ヒメモヅルは、このツルクモヒトデ類に含まれる動物群です。

 研究室のメンバーは皆それぞれ、積極的に野外で観察や標本採集を行い、その標本をもとに研究を進めています。今回見つけたヒメモヅルの新種も、研究船などに乗船して野外調査を行い、熊本県の天草沖、沖縄県の宮古島沖と伊江島沖の、深海260〜380メートルの深海から採集された標本です.これらの標本を、様々な博物館に所蔵されていた標本や、文献に書かれた情報と緻密に比較することで、新種であることが判明しました。【図1,図2】