2010-12-27

国立科学博物館の常設展示に見るノーベル賞関連展示---ノーベル賞2010!


薄い炭素膜「グラフェン」〜本年のノーベル物理学賞から

本年のノーベル物理学賞でも、炭素に関するテーマで、優れた新素材となる、厚さのとても薄い炭素膜「グラフェン」の作製に成功というものでした。グラフェンは、六角形に結合した炭素原子が平面状に並んだ透明の薄い膜です。原子1つ分の厚さです。カーボンナノチューブやフラーレンはグラフェンを筒状やサッカーボール状にした構造をしています。

グラフェンは、大変強い強度を持ちながら、伸縮性があり、電気を銅と同じ程度よく通すすぐれもの。理論的には存在が分かっていたものの、その作り方がわからなかったそうです。2004年ガイム博士とノボセロフ教授は、鉛筆のしんにもなる黒鉛から、どこでも売っている粘着テープを使って薄く引きはがすという、変わっていますが単純な方法で、グラフェンを作ることに成功したのです。このあと、急速にグラフェンについての研究論文が増えました。グラフェンは今後の様々な応用が期待されています。

当館の地球館地下3階の展示フロアには、それぞれの物質の特徴について見ていただけます。基本的に、様々な元素がどのような物で、どういった特徴があるのか、特に重要な元素“炭素”(C)についても、どのような性質を持つ元素なのか、元素周期表や同素体の模型(上の写真)の展示等で、じっくり知ることが出来ます。カーボンナノチューブやフラーレンの分子模型も美しい展示物となっており、本物と見比べながら、間近で見ることが出来ます。