2010-08-20

日本最古の鉱物の示す真実 --- 日本列島が出来た場所とは?


年代を教えてくれる特別な鉱物 --- ジルコン

















“ジルコン”と聞くと、アクセサリーに使われているキュービック・ジルコニアを思いうかべる方が多いでしょうが、キュービック・ジルコニアは別物の人工物で、天然には存在しない物です。

ジルコンという鉱物は、天然に存在して、化学的にはZr(ジルコニウム)のケイ酸塩の正方晶系の鉱物です。化学式で表すと、ZrSiO4となります。物理的・化学的に比較的強靭(きょうじん)、つまり、溶けにくい、変質しにくい、割れにくい・削れにくい鉱物です。一般には、花崗岩などの火成岩に0.05〜0.5 mm程度の大きさの結晶として含まれます。また、風化されにくいという特徴から、マグマが固まってできた「火成岩」からだけでなく、砂や泥などの砕屑(さいせつ)物が堆積してできた「堆積岩」や、それらが高い温度や圧力を受けて変化した「変成岩」からも見つかります。そして、鉱物として結晶する時にウランを含みやすい特徴があることから、地質学の研究では、ウラン-鉛(U−Pb)年代測定という岩石の年代を決定する方法に用いられます。

花崗岩などの岩石試料からジルコン鉱物を取り出すには、まず岩石自体を小さく割り砕き、砂の状態にした後、椀かけなどの方法を使って、比重の違いで分離します。最終的には、顕微鏡で観察しながら、小さなジルコンの粒を探して集めます。

■ 宇奈月地域の花崗岩の年代と「古い」ジルコンの鉱物粒子
今回の研究では、宇奈月地域の2つの花崗岩試料から多数のジルコンの粒を取り出して年代を測定したところ、これらの花崗岩ができたのはそれぞれ229±8 Ma(約2億2900万年前)と256±2 Ma(約2億5600万年前)であることがわかりました(1 Ma=百万年前)。しかし、これらの花崗岩は、花崗岩自体が出来たときにできた角ばったジルコンだけではなく、他の堆積岩などから取り込んだもの(捕獲物質)として、もっと古くて丸いジルコンを多量に含んでいました。これは、この花崗岩を形成したマグマの温度が低く、さらにジルコニウム(Zr)を比較的溶かしにくい組成だったために、マグマ上昇中に溶け込んだ堆積岩などに含まれていたジルコンが溶けきれなかった為と考えられます。堆積岩に含まれるジルコンは、運搬作用時に「転がる」ことにより角が摩耗し、丸みを帯びている事が一般的です。よってこれらは、元々は古い時代の「砂粒」であったと考えることができます。

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