2010-07-16

生き物から教えてもらう技術 !---「バイオミメティクス」研究最前線


生き物から教えてもらう技術 --- バイオミメティクス研究

 本年は、生物多様性年ですね。地球上には、大変多くの生き物が生息していて、お互いに直接的に間接的に関わり合って生きています。生物多様性の豊かであるということは、それぞれの生き物のもつ特徴自体も種類が大変多いことに反映されているといえるでしょう。これらの個々の生物が持つ特徴を学んで理解し模倣することができれば、新しいものを生み出す際の答えやヒントが大量の情報として得られるに違いありません。この多様性の中にこそ、宝物の情報が埋まっている状態だといえるでしょう。

 みなさんは、オリンピックの際に、サメの肌に似た素材の水着の着用でより記録が伸びた!という話題を耳にした方も多いでしょう。この「生き物の特徴を真似て新しいモノを開発する」という研究が、まさに「バイオミメティクス」の研究です。

 21世紀に入ってから、ヨーロッパを中心にこの「バイオミメティクス」研究が、活発になりつつあります。昆虫や植物などの表面を大変大きく拡大してとても細かい構造である、特異なナノ・マイクロ構造を観察出来る技術が発達し、そしてそれらの様々な機能を模倣して、新しいモノを生み出す「次世代のバイオミメティック材料」研究が発達を始めたこと、さらに、それがナノテクノロジーの展開と一緒になり、生物学・博物学と材料科学とのこれらの分野が一緒に協力し合うことで生じる新しい学問体系を生み出す状態ができたといえるでしょう。新しいタイプの材料設計や生産技術を新しく開発することにつながり、それに基づいて省エネルギー・省資源型モノつくりへの技術の革新をもたらすのではないか!と研究の世界や産業界からも注目されています。

 今回のホットニュースでは、生物の特徴をまねて技術に生かすという、とても興味深い「バイオミメティクス」研究について、現在どのような研究が行われているの?これからどうなるの?を含めて紹介します。