2010-03-01

ダイオウイカ ― 深海のミステリー (協力:動物研究部 窪寺恒己)

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ダイオウイカが現れた!
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ダイオウイカの生態と謎

ダイオウイカが現れた!

 2010年2月20日,現存する世界最大級の無脊椎動物,ダイオウイカ(Architeuthis sp)が,新潟県新潟市の海岸に漂着しているのが発見され,新聞・ネットニュース等で報道されました。腕を含めた全長3.4メートル,胴の部分の長さ(外套長)は1.7メートル,体重は109.2キロ。残念ながら既に死んでいましたが,傷などが少なく良い状態とのことです。

 日本海に面した山陰地方や能登半島では,冬,ダイオウイカが稀に海岸に漂着して話題となることがあります。過去のニュースを調べてみると,近いところでは2007年,島根県大田市沖で漁をしていた男性が漂流していたダイオウイカの死体を回収したとあります(※1)。外套長1.35メートル,新潟の個体では失われていた,腕の中でも最も長い触腕と呼ばれる2本が残っていたため,それを含めた全長は6.7メートルを超えました。
 2007年は特に漂着の多い年で,これを含めて7個体が見つかっています。しかし,2008年,2009年は一個体も記録がありませんでした。

 国立科学博物館では,動物研究部の窪寺恒己・無脊椎動物研究グループ長が,長年にわたり日本近海をはじめとする北太平洋の中層・深層に棲息する大型頭足類の分類や生態などを調査,研究しています。
 今回新潟で発見されたダイオウイカも,受け入れ先のマリンピア日本海(新潟県新潟市)のご厚意で,研究用標本として提供頂けることとなりました。

 窪寺グループ長と言えば,2004年に小笠原諸島父島付近の近海で,生きているダイオウイカの写真撮影に世界で初めて成功したことでご存知かと思います。更に窪寺グループ長は,2006年には同じく小笠原諸島弟島近海で生きたダイオウイカを釣り上げ,海面近くで暴れるダイオウイカの姿を動画に撮影することにも成功しました。ダイオウイカの釣獲自体は小笠原や沖縄などで前例がありますが,生きて動いている姿が動画で記録されたのは世界初でした。

※1 山陰中央新報社による

図:ツツイカ類の体(筆者画)



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