2010-02-15

アメリカ,NASAに行ってきました!宇宙飛行士訓練施設見学レポート

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※この記事は以下のページで構成されています。ご覧ください。
NASAとアメリカの宇宙開発
宇宙に飛び立つ前に…宇宙飛行士の訓練
宇宙での活動と地上からの支援
NASAの将来と日本の宇宙開発

宇宙での活動と地上からの支援

 フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースシャトルは,打ち上げ後の上昇・飛行・帰還に到るまで,ジョンソン宇宙センターの管制室から管制・支援を受けています。
 スペースシャトルが宇宙に居ない場合は管制の必要はありませんが,その間も毎日管制室ではシミュレーション訓練が続けられています。

 ISS用のミッションコントロールセンターもジョンソン宇宙センターにありますが,ISSにはロシア,日本のモジュールもあるため,モスクワ,筑波からもそれぞれ管制が行われます。
 ISSの運用計画,姿勢の制御,組み立てと点検の進行,船外活動のサポートや通信,飛行位置の追跡など,ミッションコントロールの業務は多岐に渡っており,これらそれぞれの担当に対して1つのデスクが割り振られます。
 ISSは24時間飛行を続けていますが,アメリカから見て地球の裏側に回っている間は通信が途切れる為,管制官は交代したり,休憩をとることができます。


 ISSに滞在中の飛行士は,グリニッジ標準時に則って生活しています。ISSは約1時間半で地球を一周するため,飛行士にとっては24時間のうちに16回も夜明けを迎える計算になります。船外の昼と夜が目まぐるしく変わることになりますが,中にいる飛行士の体内時計はそれほど影響されないといいます。
 ミッションの内容によっては,日本やロシアの管制を受ける都合上,それぞれの国の昼間に行わなければならない作業も出て来ます。生活時間が急に変化することになり,こちらの方が身体への負担は大きいそうです。

 ISSやシャトルだけでなく宇宙に滞在する全ての有人・無人の飛行物体にとって,脅威となるのが他の飛行体などとの衝突です。地球を周回する軌道上には,既に運用を終了したり,事故や故障で役割を果たさなくなった人工衛星や,多段ロケットから切り離された部品,更には宇宙飛行士が船外活動中に落とした工具まで,多くのいわゆる『宇宙ごみ(スペースデブリ)』があり,万が一ISSに衝突すれば致命的な事故となる可能性があります。
彗星などに由来する塵や小型の隕石などの,自然由来の脅威もあります。
 これに対して地上では,10センチを超える比較的大型の宇宙ごみの監視を常時行っており,これらが接近して来た場合はISSの軌道を変えて回避しています。しかし小型の宇宙ごみについては把握しきれておらず,自然物については塵などの軌道を完全に予測することはまず不可能です(※3)。
 これらへの対策としてISSの外壁は2重構造になっており,外層が衝突のダメージを和らげ,いわばバンパーとしての役割を果たすことで内層を保護しています。
 それでも内層にダメージを受けてしまった場合は,緊急用にISSに必ず1機ドッキングされているソユーズに避難します。小さな傷なら宇宙服を身に付けた後,自力で修理することもできます。特にロシア製のモジュールには,空気の流れを監視することで傷の位置を確認できるシステムが備えられており,手早い対応が可能となっています。

※3 地球館2階『科学と技術の歩み』に展示されているSFU(宇宙実験・観測フリーフライヤー)は,日本が1995年に打ち上げ,1996年にスペースシャトルの若田飛行士によって回収された実験・観測衛星です。幸い致命的な損傷はありませんでしたが,外壁には塵と衝突して開いた小さな孔を見ることができます。

写真上:ISSのミッションコントロールルーム(中央右にISSの位置と軌道が表示されている)
下:スペースシャトルの飛行管制室(シミュレーション中の様子)

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