2009-10-01

国際宇宙ステーションへ HTV打ち上げ・初補給に成功


国際宇宙ステーションISS

 ISSは地上約400キロメートルに建設中の,有人の宇宙実験施設です。1999年に軌道上での建設が開始され,2010年に完成,2016年までの運用が予定されています(※1)。

 アメリカ・ロシア・日本・カナダ,欧州宇宙機関(ESA)参加国のうちイギリス・イタリア・オランダ・スイス・スウェーデン・スペイン・デンマーク・ドイツ・ノルウェー・フランス・ベルギーの計15ヶ国の協同プロジェクトであり,これらの国の宇宙飛行士(未だ自国の飛行士を送り込んでいない国もあります)を中心にこれまでに延べ250人以上が滞在しています。

 居住区画や実験室など各モジュールの開発や打ち上げ,軌道上での組み立ては,各国・各グループの宇宙機関がそれぞれ分担して行っています。
 計画全体の取り纏めを担うのは米国航空宇宙局(NASA)です。一部の実験モジュールや,ロボットアームの稼動するレールとその台座,太陽電池と電力系統などを担当しました。スペースシャトルを利用した乗員の移送も行っていますが,シャトルは2010年を最後に退役予定(※2)となっており,アメリカの手で新たな移送が行われるかどうかは明らかにされていません。
 ロシア連邦宇宙局(FSA)は,ISSの第1号モジュールとなった基本機能モジュール『ザーリャ』を打ち上げた他,居住モジュール『ズヴェズダ』を提供しました。また,ロシアの有人宇宙船ソユーズは,緊急事態が発生した際に地上へ帰還する手段として,常時1機がISSにドッキングした状態を維持しています。
 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は,欧州実験棟を提供したほか,来年の打ち上げを目指して観測モジュールを準備しています。観測モジュールは7枚の窓が組み合わさったドーム型になっており,設置されればISSから地球をはじめ,ドッキング中の宇宙船,ロボットアームなどを直接見ることができるようになります。
 カナダ宇宙庁(CSA)は,ISSの組立や実験装置の交換に使用するロボットアームを提供しました。

 そして日本の宇宙航空開発研究機構(JAXA)は,日本の実験棟『きぼう』を提供しました。『きぼう』は2008年・2009年に3回に分けてスペースシャトルで打ち上げられ,それぞれ日本人宇宙飛行士が搭乗して組み立て・起動・性能試験などを行いました。
 『きぼう』には宇宙飛行士が実際に立ち入って実験を行う船内実験室,実験材料などを保管できる船内保管室,ISSの外,宇宙空間に曝露された環境に実験装置を設置するための船外実験プラットフォームなどが備えられています。

 『きぼう』では無重量空間を生かした実験,地上と比べ遥かに薄い大気密度を生かした実験が行われます。
 無重量空間では地上ではできない高品質のタンパク質結晶の精製や,それを利用した医薬品開発が行われます。また無重量空間自体が,動植物のからだにどのような影響を与えるのかも調査されます。
 地球大気を外側から見ることで,オゾン層破壊の原因となっている微量機体の観測や,オゾン層が放射する電波の観測ができるようになると期待されます。地球環境問題の解決の一助となるかも知れません。
 地上では大気の影響でほとんど捉えることのできない,X線カメラを使っての天体観測も予定されています。現在稼動中のX線天文衛星『すざく』とも合わせ,私たちの銀河系の外にある天体の様子や銀河の分布の研究が行なわれる予定です。

※1,2 ISS・スペースシャトルの運用期間は,アメリカ政府・議会などの動向によっては延長される可能性があります。


 まとめ

 @ ISSはアメリカ・ロシアを中心に,15ヶ国が参加する国際プロジェクトです。
 A 各国が役割を分担しており,日本も『きぼう』を提供しました。
 B 『きぼう』は船内実験室,船外実験施設の両方を備えており,
  地球環境など様々な分野の研究に貢献が期待されています。


写真:2009年3月,スペースシャトル『ディスカバリー』から撮影されたISS。
中央部奥が当時建設中の『きぼう』(NASA)