2009-10-01

国際宇宙ステーションへ HTV打ち上げ・初補給に成功

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H-UB打ち上げ,HTV-ISSドッキング成功
国際宇宙ステーションISS
HTVが果たす役割
HTV Q and A

H-UB打ち上げ,HTV-ISSドッキング成功

 2009年9月11日午前2時01分(日本時間。軌道上のできごとについても同様)。日本の新たな大型ロケットH-UB試験機が,鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。
 H-UBは先行型のH-UAを改良,打ち上げ能力を増強した2段式液体燃料ロケットです。全長57メートル,総重量は531トン(JAXAホームページ及びプレスキットによる。以下同)。衛星などの軌道投入能力は,低軌道(高度300〜1500キロメートルの比較的低い軌道)で19トン,静止トランスファー軌道(投入後,ロケットエンジン及び衛星自体に内蔵されたエンジンで静止軌道へ移行するまでの一時的な軌道。H-UAで打ち上げられた気象衛星ひまわりなどが当初投入された軌道はこれにあたります)では約8トンで,H-UAと比べ約2倍に向上しています。

 今回搭載されたのは,現在地上約400キロメートルを周回中の国際宇宙ステーション(ISS,詳細次頁)に物資を運ぶ目的でこちらも新たに開発された,宇宙ステーション補給機(HTV)でした。
 HTVは全長約9.8メートル,直径4.4メートルの円筒形で,自力航行用の燃料を含めた総重量は約10.5トン。ISSに滞在中の宇宙飛行士のための食糧や水,衣類,実験装置,交換用の部品などを約6トンまで積むことができます。
 
 打ち上げられたH-UBは,打ち上げから約15分後にHTVを分離,予定された軌道への投入に成功しました。
 最初の軌道は地球に最も近づく時で高度200キロ,最も遠ざかった時には300キロとなる楕円状の軌道で,ISSに到達する為には高度が不足しています。HTVには自力航行のための電子機器とエンジン,燃料が搭載されており,約1週間掛けて少しずつ高度を上げ,ISSに接近しました(今回は1号機のため,航路上で性能試験を行いました。通常は打ち上げから約3日で,ISSまで到達できます)。

 9月17日午後10時59分。HTVはISSの後方約5キロに到達し,相対的に停止しました。相対停止とは同じ軌道上を同じ速度で周回する,お互いに近づきもせず離れもしない状態です。
 次いでISSの真下(宇宙側を上,地球側を下としています)約500メートルに入り,毎分10〜1メートルのゆっくりとしたスピードで上昇,更に距離を詰めて行きました。
 そしてISS側のロボットアームに掴まえられ,翌18日7時26分,ISSに結合されました。

 HTVには与圧部と非与圧部があります。
 与圧部は宇宙飛行士が直接乗り込んで作業する区画で,ISSの内部で使用する物資や部品が積まれています。ISSと同じく空気で満たされており,気圧は1気圧,温度もISSと同等に保たれています。ドッキング後の19日,ISSとの間を隔てていたハッチが開かれ,宇宙飛行士が乗り込みました。21日からは実際に物資を運び出す作業が行われています。
 非与圧部は空気がなく,直接宇宙空間に晒される区画です。ISSの外,宇宙空間で使用される,実験装置や交換部品を載せたパレットが収納されていますが,打ち上げ時などに飛び出してしまわないよう固定されているだけで,外との仕切りはありません。
 ISSに到着後,パレットはロボットアームで非与圧部から取り出され,実験装置などを降ろした後再びHTVに戻されました。

 10月1日現在,HTVは未だISSに結合された状態で軌道上にあります。物資の搬出が続いており,終了後は空いたスペースにISSでの使用済み機材などの廃棄物が積み込まれることになっています。その後ISSから切り離され,地球大気圏に突入してほぼ燃え尽きる予定です。


 まとめ

 @ HTVはISSに食糧や物資を運ぶ補給専用の宇宙船です。
 A ISSの近傍までは自動操縦で接近,ISSのロボットアームを使用してドッキングしました。


写真:H-UBの打ち上げ。
先端の白い部分(HTV用フェアリング)にHTVが搭載されている(JAXAフォトアーカイブス)


より詳しく知りたい方のために
JAXA

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