2009-08-01

夏休み,生き物たちに親しもう! ― 生き物の『多様性』のひみつ (Part 1)


生き物たちに会いに行こう!

 身近な干潟や磯,里山に生き物の観察に出かけてみましょう。

 干潟は砂や泥がある程度の広さで溜まった河口や海岸で,潮の満ちた時には水の底に,潮が引いた時には陸地にと,1日のうちで大きく見た目が変わります。
 海水が毎日運んで来る養分,水が引く度に直接当たる日光が,様々な生き物たちを育んでいます。
 砂や泥に潜っている貝やカニ,ゴカイは,干潮の時に砂や泥を掘ると見つけることができます。砂や泥に開いた小さな穴の傍で,中の住人を驚かせないように静かに待っているとカニやゴカイが顔を出すかも知れません。
 生き物をついばみに,鳥がやって来ることもあります。チドリやシギのなかまが砂や泥を時々つつきながらカメラや双眼鏡を持ってのバードウォッチングもお勧めです。

 海や湖の水際の中でも,石や岩が多く砂・泥が少ないところを磯と呼びます。
 干潟と比べて大きく違うのは,岩の重なりや割れ目など,小さな生き物が隠れることのできる空間がたくさんあること,潮の満ち引きによって岩などのくぼみに海水が残って溜まる,潮溜まりができることが挙げられます。
 また,岩に藻などがついていることも多いため,海の生き物たちにとっては餌になりますが,観察に行く時には滑りやすくなるため注意が必要です。

 磯の石の裏側をのぞいてみると,小さなカニやヤドカリなどが隠れているのが見つかることがあります。岩の側面や水底には貝やイソギンチャクがついていたり,藻を食べに来た魚や,アメフラシなどの軟体動物がいることもあります。

 里山ではクヌギなどの樹液に集まる,昆虫を観察してみましょう。
木の幹から流れ出ている樹液は,人間の鼻でも充分にわかるあまずっぱいにおいがします。
 昼間にはカナブンやカミキリムシなどの甲虫,タテハチョウやジャノメチョウなどチョウのなかまがよく見られます。スズメバチがやってくることもあるので,見かけたら触ったり振り払ったりしないように充分注意しましょう。
 樹液が出ている木を覚えておいて,夜にもう1度見に行ってみると,運が良ければカブトムシやクワガタムシに出会えます。大型のガや,バッタのなかまがいることもあります。

 
 このように楽しい自然観察ですが,安全に観察する為には幾つかの約束事もあります。
 出掛けたい山や海を決めたら,出発する前にその場所について調べましょう。山の持ち主の方や漁協の方に,観察に入る許可をもらわなくてはいけないことがあります。観察に入るだけなら良くても,採集が禁止されている場所もあります。
 天気予報も見ておきましょう。少し前までは晴れていたのに急に激しい雨が降り出したり,雷が鳴ったりする『ゲリラ豪雨』も増えています。長時間外に出掛ける時には,携帯電話やラジオなどを持ち,外にいても気象情報がわかるようにしておくとより安心です。
 海に行く場合は満潮・干潮の時間も調べておかなければなりません。干潮の間は安全に歩くことができた場所でも,潮が満ちると水の底になったり,小島のようになって取り残されてしまう危険があります。

 屋外に出かける時は帽子をかぶり,動きやすく汚れても良い服を着ましょう。山に行くなら草で肌を切ったり,虫やヘビなどへの対策としても長袖長ズボンがおすすめです。長袖だと暑い,という場合は半袖でも構いませんが,上にはおれる長袖は持って行っておくと良いでしょう。海でも怪我を防ぐため長袖長ズボンが望ましいですが,濡らさないように折り曲げられるものが便利です。
 靴は足に合ったはき慣れた靴で,底のしっかりしたものにしましょう。海に出かける場合でも,ビーチサンダルやゴムぞうりはぬかるみで脱げたり,岩や生き物を踏んで怪我をする危険があり良くありません。

 暑い屋外での観察は,汗や日焼けで自分で感じている以上に疲れが溜まりがちです。水分や塩分を補給し,適度に日陰に入って休憩をとるようにしましょう。
 気分が良くないと感じたら無理をせず,早めに家に帰って休むことも大切です。

 おうちの方に「行ってきていいよ」と言われた場合を除いて,出掛ける時は必ずおとなの方と一緒に行くようにしましょう。ひとりで行っても良いと言われた場所であっても,行き先や帰る時間を伝え,黙って行かないようにしましょう。

 持って行くと便利なものは筆記用具とメモ帳,スケッチブックなどです。採集が許可されている場所なら,採集のためのアミやくま手など,その場所に応じた道具を用意すると良いでしょう。
標本づくりを目的としている場合を除いて,捕まえた生き物は観察が終わったら,見つけた場所に返しましょう。



お知らせ

ホットニュース『夏休み,生き物たちに親しもう! ― 生き物の「多様性」のひみつ』は
次回,8月15日号に続きます。
8月15日号では生物の多様性を守っていくために,私たちひとりひとりは,
日本は,世界は何ができるのかについて考えていきます。

ホットニュース8月15日号は,8月15日が土曜日のため
17日,月曜日の掲載となります。どうぞお楽しみに!


写真
上:沖縄県西表島の干潟の様子。
 潮が満ちている間水中にあった泥の中から,潮が引くと共に姿を現したミナミコメツキガニ(円内)
下:国立科学博物館で開催した自然観察会『磯の動物観察会』。
 ※今年度は終了しました。来年度の実施は未定です。


(研究推進課 西村美里)