2009-05-01

速報:新型インフルエンザ,侵入に注意


新型インフルエンザから身を守るために

 現在世界各国が,新型インフルエンザの侵入や感染拡大を食い止めようと水際の努力を続けています。
 日本での対策は,初めにも触れた渡航の延期の勧告や飛行機内での検疫のほか,感染地域から体調の良くない旅行者,帰国者があった場合に最大で10日間,空港付近の施設に留まってもらい,感染の拡大を防ぐこととしています。成田空港周辺だけで約500部屋分の宿泊施設が用意され,関西・中部・福岡の各空港周辺でも受け入れができるよう調整が進められています。
 しかし,検疫を担当する係官の不足や,宿泊施設は500部屋で十分と言えるのかなど不安は残っています。

 既に感染地域に渡航していた人で,帰国から10日以内に熱が出るなどインフルエンザの疑いのある症状が出た方には,至急最寄の病院・保健所に連絡することが勧められています。連絡・通院する場合は,出かける前に受け入れ態勢があるかどうかを病院・保健所に確認し,また不特定多数との接触を避けるため,公共交通機関ではなく自家用車を利用してください。

 わたしたちひとりひとりにできる感染予防対策は,普通のインフルエンザを予防する時と何も変わりません。
 外から帰ったら手洗い,うがいを行うようにしましょう。目や口などの粘膜から感染する可能性があるため,洗っていない指でそれらの部位に触るのは良くありません。
 外出の際にマスクをするのも有効です。不織布製のマスクは効果が高いとされます。
 過労や睡眠不足はインフルエンザに限らず,病原体に対する抵抗力を損なわせるため注意が必要です。

 誤った対策情報にも注意してください。
 例えば「豚肉を食べない」という対策は効果がありません。インフルエンザウィルスは,感染者や患者の咳やくしゃみで飛び散る唾液や痰などの飛沫や,感染者・患者がいた部屋の空気などに多く含まれています。新たな感染も主にそれらを原因として起こっており,食材からうつることはまずあり得ません(感染者や患者が口をつけたものを食べる,飲むなどした場合,唾液に含まれるウィルスから感染する可能性があるため状況が異なります)。

 厚生労働省の発表では,通常のインフルエンザを予防するためのワクチンは,今回の豚インフルエンザウィルスには効果がないとされています。
インフルエンザの予防接種を慌てて受けに行ったとしても,予防につながるとはいえません。接種しておけば症状が軽くなる,というデータも今のところないようです。

 初めのお願いの繰り返しになりますが,厚生労働省など各機関から発表される最新の情報には十分注意してください。過剰に不安になる必要はありませんが,安心のし過ぎも良くありません。
 「自分にも降りかかるかも知れない問題」という意識を持つことが,今のわたしたちにできる最大の,感染予防対策と言えるかもしれないのです。


図:2009年4月29日時点での新型インフルエンザ発生状況(Wikipediaより転載)
 ■ 新型インフルエンザと確認された患者,死者が発生
  新型インフルエンザと確認された感染者が発生
  未確定だが感染の疑いがある


(研究推進課 西村美里)