2009-05-01

速報:新型インフルエンザ,侵入に注意


海外で感染が拡がる新型インフルエンザ

 メキシコを中心としてアメリカ,カナダ,ヨーロッパなどでも感染者や感染の疑いのある患者が出ている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)。
 主な症状は発熱やだるさ,咳など通常のインフルエンザと似ていますが,通常なら罹ってもそれほど酷くならないことの多い若い人でも重症になる場合があること,メキシコで150人以上(インフルエンザによると確定した人に加え,肺炎など他の病気の可能性がある人の数を多く含みます)が亡くなっていること,感染者の出た地域が急激に広がったことなどから世界的に不安が強まっています。

 動物からヒトへの感染ではなく,ヒトからヒトへ感染する新型のインフルエンザの発生に,WHO(世界保健機構,本部ジュネーブ・スイス)は4月27日,流行への警戒の必要性が高まったとして警戒レベルをそれまでより1段階高い,「フェーズ4」に引き上げると発表しました。
 更に30日,感染の拡大に伴い,大流行の危険が高まっているとして「フェーズ5」への引き上げが発表されました。

 「フェーズ4」とは,ウィルスがヒトからヒトへ,また次のヒトへ,というように連続的に感染を繰り返して行くことが確認された状態で,ある一定の規模の人間の集団の中で感染が広がる可能性があります。
 「フェーズ5」は世界の一地域,複数の国で感染が広がった状態で,全世界を巻き込むような大流行(パンデミック)の危険が高まっていることを意味します。

 この発表を受けて日本でも,28日に麻生総理を本部長とする対策本部が設置されました。
 特に重要な用事がない場合,メキシコなど患者が発生した国・地域への旅行は延期することが勧められています。
 患者が発生した国から到着する飛行機の乗客に,飛行機を降りる前に体温チェック,体調についての質問表への回答を求める機内検疫も開始されました。

 今回のホットニュースでは,新型インフルエンザの発生の仕組みや感染防止対策などについて速報でお伝えします。
 なお,情報は常に変化する可能性があります。患者の発生地域など最新の情報は,厚生労働省・外務省などの関係省庁ホームページ,報道発表などをあわせてご確認ください。
 国立科学博物館は医療機関ではなく,著者は医療者ではありません。ご自分の体調がご不安の場合は,必ず最寄の医療機関,保健所などへご相談いただきますようお願いいたします。

図:新型インフルエンザの発生から終息まで。
WHOによる図を翻訳・改変
原図はhttp://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/phase/en/index.html(英文)

より詳しく知りたい方のために
厚生労働省
外務省 海外安全ホームページ