2008-08-20

ゲリラ豪雨と積乱雲−突然の雨・雷に注意!− (協力:理工学研究部 前島正裕)


急激な気象変化への備え

 積乱雲は発生からおよそ10分でも落雷を発生させる場合があり注意が必要です。

 放電に伴う光と音はわたしたちに,雷雲が接近していることを教えてくれます。
放電の時,瞬間的に大電流が発生します。その結果,電気の通り道の周辺の空気は急激に暖められ膨張し,光とともに衝撃波が発生し雷鳴となります。

 稲光と雷鳴の到達時間の差から,雷の発生地点までの距離をはかる方法は有名ですが,時間差が何秒以上あったから未だ安全,と油断してしまったことはないでしょうか?
 雷鳴が到達する距離は,およそ20km弱といわれています。発生地点まで10kmの場合,稲光から雷鳴までの時間は約29秒,15kmなら約44秒で,これだけ時間が空いているなら大丈夫だと安心してしまいたくなりそうです。しかし雷雲自体が通常時速5〜40kmで移動してくる上,雷雲から約10kmの圏内であれば放電が届く可能性があること,ひとつの積乱雲の直径がおよそ4〜10kmであり,放電が起きるのは雲中の同じ場所からとは限らないことを考え合わせると,微かにでも音が聞こえた時点でその場所は決して安全とは言えません。

 雷に対してかなり安全と言える避難場所は,避雷針のある建物の中です。日本の建築基準法では,高さ20メートルを越える建物に避雷針(または避雷設備)の設置が義務付けられています。避雷針は,基準どおりに設置されている場合,雷の電流を安全に地面に流すことができます。しかしその場合でも近隣に落雷すると,家電製品や電話機が故障する可能性があります。
 建物に避雷針がなくても,屋外に比べれば安全ではあります。しかし壁や柱を電流が伝うことがあるため壁からは1メートル以上離れる必要があるほか,特に木造住宅の場合は火災にも注意しなければなりません。
 自動車・電車・飛行機など,金属製の乗り物の中も安全といえます。電気を通し易い物体に囲まれた空間は,外部の電気を内側に侵入させない性質を持っているためです。電流は車体,または機体の外壁を通り,地面や機体外に抜けていきます。この場合も,金属部分には触っていないほうが安全です。
 高い木や送電用の鉄塔の下も,確実ではありませんが比較的安全な場所です。ただし木や鉄塔に近づきすぎると,自分自身にも放電が移る(これを側撃雷といい,多くの死傷事故が起きています)危険があります。一般的に高い木などの先端から同じ長さくらい離れた場所で,歩幅を小さく,背を低くしていると良いといわれています。

 雨が降り出すのは雷が鳴り始めた後になることが多いようです。雨は上層からの冷たい下降気流と共に落下するため,冷たい強風を伴っており周囲の気温を急激に下げます。
 河川の傍,特に河原や川の中州にいる場合には増水に注意が必要です。急峻な山などでは,下流では晴れていても,上流で雷雨があると急激に増水することもあります。
 崖下などの崩れやすい場所にいる時も注意が必要です。特に雨が続いた後は地盤が緩むため,更なる雨によって一気に崩落する可能性もあります。

 大気の状態の不安定が解消されない限り次の積乱雲が発生します。一度止んだからと安心せず,常に情報と周囲の様子に気を配っておくようにしましょう。

写真:避雷針(国立科学博物館新宿分館屋上)