2007-11-15

日本の両生類とカエルツボカビ (協力:植物研究部 細矢剛)


科博からのお知らせ

 国立科学博物館では、2008年1月から、ニュース展示『カエルツボカビ〜その生物学と環境への影響(仮称)』の開催を予定しています。
 カエルツボカビ問題のこれまでとこれから、生物としてのカエルツボカビの分類と生物学、更に日本に固有の両生類たちを、標本と写真でご紹介します。
 監修はこのニュース記事と同じく、植物研究部の細矢剛です。

 最後にカエルツボカビについての、細矢のコメントをご紹介します。
 「現在地球で知られている菌類は7万種とも8万種とも言われます。しかし、それは知られている(記載されている)種数であって、実際に存在する種の数は、少なくとも150万種にのぼる、という説があります。ツボカビ類は現在900種が知られていますが、いままで生きた両生類に発生する菌はまったく知られていませんでした。だから、カエルツボカビは、現在唯一知られる両生類に寄生するツボカビ類なのです。そのようなこともあって、本種(Batrachochytrium dendrobatidis)は1999年に新属新種として記載されました。
 また、最近の遺伝子解析の結果は、ひとくくりにされてきた「カエルツボカビ」に複数の生物学的実体が存在していることを示唆しています。菌類の世界は、まだまだ新種・新産種がワンサカいる未知の世界なのです。いまいちど、生物学的実体としてのカエルツボカビについては冷静に考えることが必要でしょう。その一方で、リスク管理の基本は『転ばぬ先の杖』です。最悪の場合を意識し、行動することが求められています」


(研究推進課 西村美里)