2007-11-15

日本の両生類とカエルツボカビ (協力:植物研究部 細矢剛)


日本の全ての両生類が危険に晒されているのですか?

 直ちにそうとは言い切れません。カエルツボカビに感染しても発症しない両生類が何種類かいるらしいことが判っています。

 例えばアフリカツメガエルは、感染しても全く症状が出ないまま、菌と共存することができます。しかしその為に、感染していることに気がつかれないまま、世界各国に実験生物などとして輸出されてしまうという問題も起こりました。
 一方で日本でもペットとして人気の、ベルツノガエルやマルメタピオカガエルなどの南米原産のカエルでは、日本でも飼育下で感染・発症してしまった個体がありました。

 『爬虫類と両生類の臨床と病理に関するワークショップ』(爬虫類と両生類の臨床と病理の研究会主催)では、実験室で人工的にカエルツボカビに感染させた日本在来のカエルのうち2種がカエルツボカビ症を発症して死亡したことが報告されました。
 実験室と野生では、同じ菌に感染しても、個体に掛かるストレスや雨などからの清浄な水の供給など、その後の生息環境には大きな違いが出て来ます。日本の両生類が天然でカエルツボカビにどのような反応を示すかは今のところ判っていません。万が一発症して死亡する個体が出てしまってからでは取り返しがつかない可能性があるため、今のところ危険な状況かもしれないとして厳重な注意の呼び掛けが続けられているのです。