2008-03-15

第9惑星再び!? −海王星の外側に新たな惑星の可能性 (協力:理工学研究部 西城惠一)


太陽系内に「新惑星」発見か?

 「太陽系に第9番目の惑星が存在する可能性がある」こんなニュースが先月末,各誌に取り上げられました。一昨年惑星から除外されることになった冥王星(詳細3頁)が惑星に復活…という訳ではありません。冥王星は一昨年決まった準惑星のまま,全く別の新たな惑星が発見される可能性が出てきた,というのです。
 「可能性」と繰り返しましたが,今のところこの「新惑星」が実際に観測・発見された訳ではありません。

 神戸大学の向井正教授とパトリック・リカフィカ研究員が行なったコンピューター・シミュレーションによる「予言」で,質量は地球の3割から7割,直径は地球の8割強から1.3倍程度の氷惑星と推定されています。
 太陽に最も近づく時(近日点)の太陽との距離は約80AU(※1),楕円軌道の長い方の半径が100AUから175AU,軌道は地球やその他の惑星の軌道(黄道面)に対しておよそ20から40度傾いていると考えられます。
 
 現在仮に太陽に近づいた状態であるとすれば,明るさは14から18等程度と考えられます。これは15等の冥王星と比較しても,特別に暗いという訳ではありません。それでもこれまでこの「新惑星」を発見することができなかったのは,軌道の傾きが非常に大きいためだと研究グループは説明しています。
 これまでの観測は主に,黄道面に近いところを中心に行なわれてきました。「新惑星」は黄道面から大きく離れているため,「新惑星」発見のためには探索の範囲を広げなければなりません。
 
 アメリカなどを中心とした国際グループ等によって,太陽以外の恒星の周りを回る惑星や,太陽系内の新たな天体の発見を目的とした大規模な自動探査システムが現在計画されています。これが完成すれば今回の「新惑星」も,10年以内には実際に発見できるのではないかとの期待が高まってきています。

※1 AU(Astronomical Unit:天文単位)は,天文学で使われる単位のひとつです。太陽の周りを公転する地球の楕円軌道の長い方の半径の長さで定義され,約1億5000万kmです。


図:仮想「新惑星」想像図
右上のぼんやりとした明るさの天体は太陽。
提供:神戸大学


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神戸大学